UR賃貸で「すぐに退去」は可能？退去手続きを簡単に解説

UR賃貸物件の柔軟な契約条件は多くの入居者にとって大きな魅力の一つですが、さまざまな事情により「すぐに退去したい」と考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際に「すぐに退去」は可能なのでしょうか？

UR賃貸に長く住むことは無さそうだけど、「すぐに退去」しても違約金とか無い？

民間の賃貸物件だと、1年～2年以内に退去した場合の違約金があることが多いけど、UR賃貸はすぐに退去しても問題無いから安心です。しかし、注意点はあるので、この記事で説明します。

そして、その際の退去手続きはどのように進めればよいのでしょうか？この記事では、UR賃貸物件からの「すぐに退去」について、手続きの流れから注意点、必要な費用に至るまで、詳しく解説していきます。

入居者が知っておくべき退去予告の必要期間、手続きの窓口、必要書類など、退去に関する疑問を一挙に解決します。UR賃貸物件をスムーズに退去するためのガイドとして、この記事をぜひお役立てください。

この記事の監修者

宅建士：(大阪)第118737号・建築CAD2級・基本情報技術者

シュース 健人

しゅーす けんと

詳しいプロフィール

プロフィール

UR賃貸プロの運営メンバーかつ、ラク賃不動産の運営メンバー。シンクタンク・不動産会社勤務の経験を活かして、不動産全般のお悩み相談が可能です。

UR賃貸の退去手続きの手順

UR賃貸の退去手続きは、計画的に進めることが重要です。

退去予告の必要期間

UR賃貸の退去手続きを始める最初のステップは、退去予告です。退去を決めたら、少なくとも14日前には退去予告を行う必要があります。

退去予告は、「賃貸住宅賃貸借契約解除届」を管理サービス事務所または管理連絡員に提出することで行います。

予告期間が14日に満たない場合、解除届提出の翌日から起算して14日目が契約解除日となり、その期間までの家賃を支払う必要があります。

また、解除届提出後は次の入居者の手配が始まるため、契約解除の取り消しや退去日の延期はできません​。

退去の手続きの窓口と方法

退去日には、貸主や管理会社の立ち会いの下で部屋のチェックを行い、鍵を返却します。

この時、部屋の傷や汚れ、建具の不具合などを確認し、原状回復の費用について話し合います。

原状回復費用の負担割合が決まったら、敷金の精算を行います。敷金が原状回復費用をカバーできない場合は追加で請求されることがあるため、注意が必要です。

必要書類と準備すべきもの

退去手続きに際しては、契約解除届の提出の際に印鑑、契約書の写し、敷金精算後の返還金の振込口座がわかるもの（通帳やキャッシュカード）、査定の日程を決めるためのスケジュール、本人確認できる証明書、移転先住所がわかるものを準備するとスムーズです。

また、退去時にはハウスクリーニング代や退去日までの家賃などの日割りでの支払いも必要になることがあります​​。

UR賃貸の退去手続きには、計画的な準備とタイムリーな手続きが必要です。退去予告の必要期間を守り、必要書類を整えておくことで、スムーズな退去が可能になります。

UR賃貸を「すぐに退去」しても違約金は無い

UR賃貸での「すぐに退去」の際、一般的には違約金は発生しません。特にUR都市機構が提供する3年間の定期プラン「URライト(定期借家)」を利用している場合も、更新料が不要で家賃を抑えることが可能であり、もし入居後1年で退去することになっても違約金は発生しません。

ただし、「フリーレント契約」のように特定の条件がある契約を結んでいる場合は例外で、契約期間内に退去すると違約金が発生する可能性があります。フリーレント契約では、入居後の一定期間家賃が免除されるものの、定められた期間住み続けることが家賃無料の条件になっています。この契約で早期に退去すると、フリーレント期間の家賃相当の違約金が発生することがあります。

退去手続きには、14日以上の予告期間が必要で、この期間に「賃貸住宅賃貸借契約解除届」を提出する必要があります。予告期間が14日に満たない場合は、解除届提出の翌日から14日目が契約解除日となり、その日までの家賃等の支払いが必要です。

また、解除届提出後は次の入居者の手配が始まるため、契約解除の取り消しや契約解除日（退去日）の延期ができない点に注意が必要です。契約解除届を提出する際には、印鑑、契約書の写し、敷金精算後返還金が発生した場合の振込口座がわかるものなどが必要になります。

すぐに退去する時に注意すべきこと

退去を急ぐ際は、細部まで注意が必要です。

①敷金の引継ぎができない

通常、UR賃貸住宅では敷金を次のUR物件に引き継ぐことが可能ですが、すぐに退去する場合、このメリットを享受できないことがあります。

敷金は原状回復費用に充てられ、残金があれば返還されますが、急な退去では部屋の状態によっては想定以上の費用がかかることがあります。例えば、壁の穴や床の傷など、通常の使用を超えた損傷がある場合、その修繕費用が敷金を上回ることも考えられます。

また、引き継ぎが可能な場合でも、次の物件が即座に見つかるとは限らず、その間の資金計画に影響を及ぼす可能性があります。

②フリーレントであれば違約金

フリーレント契約を結んでいる場合、特定の期間家賃が免除されますが、その期間内に退去すると違約金が発生する可能性があります。フリーレント契約は、入居者が一定期間住み続けることを前提にしています。

たとえば、フリーレント期間が1ヶ月の契約で1年以内に退去すると、フリーレント期間の家賃相当分の違約金が発生することがあります。同様に、フリーレント期間が2ヶ月で2年以内に退去する場合も、2ヶ月分の家賃相当の違約金が必要になることがあります。これは、フリーレントのメリットを享受する代わりに定められた条件を守る必要があるためです。

すぐに退去を考えている場合、敷金の扱いやフリーレント契約の条件を十分に理解し、余計な費用が発生しないように計画的に行動することが重要です。また、退去手続きの期限や必要書類なども事前に確認し、スムーズな退去ができるように準備をしておくことが望ましいでしょう。

UR賃貸を退去する時の費用

退去時の費用には注意が必要です。

敷金の精算について

UR賃貸では、経年劣化や通常使用による損耗は貸主（UR）が負担します。これには、畳のすり切れや日焼け、フローリングのワックス剥がれ、水栓のさびなどが含まれます。

一方で、借主の故意や過失による損耗は借主負担となります。

これには、タバコのこげ跡、重いものによる畳の変形、フローリングの傷やシミなどが含まれ、清掃を怠ったことによる汚損も借主負担です。UR賃貸は国土交通省の指針に従って敷金精算を行い、敷金から原状回復費用を差し引くことがあります。特に、経年劣化による修繕は賃料に含まれるため、貸主負担とされています​。

日割り家賃の計算

退去時の日割り家賃は、退去する月の家賃を日数で割り、実際に住んだ日数分を計算します。例えば、月の途中で退去する場合、その月の全日数に対する実際に住んだ日数の割合で家賃が計算され、これが日割り家賃になります​。

原状回復費用の計算

原状回復費用は、入居時に比べて退去時にどの程度部屋が損耗しているかに基づきます。借主が故意や過失で発生させた損害については、借主が負担します。

しかし、通常の使用による損耗や経年劣化は貸主（UR側）が負担します。

例えば、清掃費用が発生した場合でも、これが通常の使用範囲内であれば、敷金から差し引かれる可能性があります。具体的な費用は、損耗の程度や修理が必要な箇所によって異なりますが、適切な清掃やメンテナンスを行っていれば、負担額を抑えることが可能です​​。

UR賃貸では、入居者が負担する費用と貸主が負担する費用を明確に区分しているため、退去時の費用負担に関しては比較的透明性があります。ただし、具体的な費用の計算方法や負担額は、個々の契約内容や物件の状態によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

まとめ：UR賃貸はすぐに退去可能で退去手続きも簡単

UR賃貸物件からの退去は、適切な手続きを行うことで「すぐに」実現可能です。重要なのは、退去予告の必要期間を守り、退去の手続きの窓口で正しい方法を用いて手続きを進めることです。

必要書類や準備すべきものを事前に確認し、整えておくことで、スムーズな退去が実現します。また、UR賃貸は敷金の引継ぎができないこと、フリーレント期間中の退去には違約金が発生することなど、いくつかの注意点があります。退去時の費用としては、敷金の精算、日割り家賃、原状回復費用の計算が主なものです。

これらを踏まえ、計画的に退去を進めれば、UR賃貸物件からの移動もスムーズに、かつ経済的に行うことができます。UR賃貸はその柔軟性から、緊急の退去が必要となる場合にも対応しやすい選択肢と言えるでしょう。この記事を参考に、退去手続きを適切に行い、次のステップへと進んでください。