
※画像出典:日本経済新聞
東京地方裁判所は「宗教法人法」に基いて裁判所に「オウム真理教」に対して解散命令請求を行った際の証拠などの関連記録を廃棄していました。和歌山地方裁判所では「明覚寺」に対する解散命令の関連記録を廃棄。過去、行政機関の請求を受けて裁判所で宗教法人に解散を命じたケースはこの2件です。
■オウム解散請求の記録を廃棄 東京地裁、95年申し立て
https://nordot.app/968436700852961280
共同通信 2022/11/24
地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教に対する1995年の解散命令請求の関連記録を、東京地裁が廃棄していたことが24日、地裁への取材で分かった。和歌山県の明覚寺に対する解散命令の関連記録廃棄も判明。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求が現在焦点となる中、宗教法人法に基づき解散を命じた数少ない先例の記録廃棄が判明したことで、裁判記録の適切な保存を求める声がさらに強まりそうだ。
■全記録を廃棄…オウム真理教の解散命令請求関連 東京地裁が2006年 永久保存されなかった理由は不明
https://www.tokyo-np.co.jp/article/215955
東京新聞 TOKYO Web 2022年11月24日 22時01分
検察庁が保管するオウム真理教の麻原彰晃しょうこう元死刑囚=執行時(63)、本名・松本智津夫ちづお=らの刑事裁判記録については、18年8月、当時の上川陽子法相が「刑事参考記録」に指定し、原則永久に保存するよう指示。13人の死刑執行に関する行政文書も期限を決めずに保存する方針とされた。
裁判所の記録保存を巡っては今年10月、神戸地裁が連続児童殺傷事件の少年に関する全記録を廃棄していたことが判明。最高裁は外部の有識者委員会を設置し、少年事件以外も含めた記録全ての保存の在り方について改めて検討することになっている。25日に第1回会合を開く。
地裁の担当者は「特別保存に付されなかった理由や廃棄の状況は明らかではない。廃棄の判断が適切だったかどうかについては、最高裁による有識者委員会の調査検討の進捗しんちょくも踏まえて検討していきたい」としている。(奥村圭吾、小嶋麻友美)
宗教法人の「解散命令」は過去2件!
宗教法人の「解散命令」は宗教法人法に基いて行政機関などの請求を受けて裁判所の判断で決定します。
過去に行政機関の請求に基いて「法令に違反して著しく公共の福祉を害する行為」を理由に解散命令を受けたのは、地下鉄サリン事件などを起こした「オウム真理教」と教団幹部などの詐欺事件で有罪判決を受けた和歌山県に本部を置く「明覚寺」の「2件」に限られます。
特別保存されなかった理由は不明?
最高裁判所の規程によれば、解散命令請求を含めた民事手続きの記録の保存期間は終了後「5年間」です。しかし、社会的に注目を集めた重大事件などの記録は「特別保存」に指定、永久的に保存する決まりになっています。
前述の2件に関して、裁判所の手続きで双方の提出した証拠や主張に関する書類などの記録は東京地方裁判所と和歌山地方裁判所でそれぞれ保存していました。オウム真理教の記録は事件後10年間保存していたものの2006年3月8日付で廃棄、明覚寺の記録は時期は不明ではあるものの廃棄されています。
管理人後記!
宗教法人の解散命令を巡っては、安倍晋三元首相の銃撃事件を発端に文部科学省は「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に対して宗教法人法に基く「質問権」を行使しました。仮に「解散命令に該当する事実関係」を把握した場合、裁判所に請求を検討します。
そうした中で数少ない先例の記録を廃棄したことは致命的です。一連の騒動を受けて裁判記録の適切な保存を求める声は多く上っています。いずれにしても廃棄に至った経緯や適切性は問われなければなりません。国会で徹底的に議論して裁判記録の適切な保存に関するルールを明確に定めるべきです。




