
■対中人権決議を採択 ウイグル・チベットに懸念―衆院
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022020100165&g=pol
時事ドットコム 2022年02月01日 13時14分
衆院は1日の本会議で、中国・新疆ウイグル自治区などでの人権侵害に懸念を表明する決議を与党と立憲民主、日本維新の会などの賛成多数で採択した。「国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう強く求める」と訴えているが、日中関係に配慮して名指しでの中国批判は避けた。
■衆院、名指し避け対中決議採択「人権侵害」盛らず、維・国不満
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022020100829&g=pol
時事ドットコム 2022年02月01日 19時24分
決議は、「南モンゴル」(内モンゴル自治区)を含め「国際社会から信教の自由への侵害や強制収監など深刻な人権状況への懸念が示されている」と指摘。日本政府に対し、全容把握に向け情報収集に努め、監視と救済のため「包括的な施策」を実施するよう求めた。与党と立憲民主、共産が賛成し、れいわ新選組は反対した。
岸田政権「人権外交」の第一歩!
2022年02月01日(火)。同日の衆議院本会議で「中国政府による新疆ウイグル自治区やチベットなどの人権状況に懸念を表明する決議」を賛成多数で採択しました。自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党などは賛成、れいわ新選組は後述の理由で反対、北京冬季五輪の開幕を前に与野党で足並みを揃えて人権重視の姿勢を示した形です。
岸田文雄首相は首相官邸で記者団に対して「決議をしっかり受け止めて、引き続き普遍的な価値観、人権を大事にする政策や外交を進めていきたい」と述べました。
採択された決議では「新疆ウイグル自治区」「チベット」「南モンゴル(内モンゴル)」「香港」に関して「信教の自由への侵害や強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念が示されている」と指摘しました。
その上で、中国政府を念頭に「力による現状の変更を国際社会に対する脅威と認識すると共に国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう強く求める」と訴えました。また、日本政府に対して「全容把握に向け情報収集に努めて監視と救済の為に『包括的な施策』を実施」を求めました。
公明党への配慮で腰砕けに?
一方で、与党内で修正協議の末「人権侵害」を「人権状況」に変更した上で「非難決議」の「避難」の文言は削除しました。更に、具体的に「中国」の国名は明示せずに名指しは避けました。これは主に決議に慎重な公明党への配慮です。
二度の見送りを経て採択!
所謂「対中国非難決議」を巡って、欧米諸国は早々に中国の人権問題に厳しい姿勢を示しました。2021年4月、当時の菅義偉首相とジョー・バイデン大統領の初の首脳会談を前に「国会の意思を示すべき」として採択を目指したものの見送られています。
岸田政権発足後の2021年12月の臨時国会、再び採択を目指して高市早苗氏ら議連幹部は自民党の茂木敏充幹事長に働き掛けました。しかし、同氏は内容には賛成したものの「タイミングの問題だ」と述べて採択は再び見送られました。二度の見送りを経て今回採択に至っています。
与野党に不満の声!
自公両党の協議の末に文字を削った事について、決議実現を目指してきた議連の関係者は「侵害という言葉も抜けて『中国』と名指しも避けた骨抜きのものでは決議自体が政治家の自己満足に過ぎないという気持ちもある」と不満の声を漏らしました。
立憲民主党の泉健太代表は記者団に対して「国際社会の声も踏まえ我が国も当然人権をしっかり守らなければならないという立場を示した重い決議だ」「政府にはより高い人権保護の意識を持って対応してもらいたい」と述べました。
一方で「立憲民主党は去年の早い時期に党内手続きを終えていた」「北京五輪直前の決議となったのはタイミング的に遅い」と指摘しています。
また、日本維新の会と国民民主党は衆議院での採決に賛成したものの日中関係に配慮して中国を名指しせずに「人権侵害」の文言を修正した事に不満を示す文書をそれぞれ発表しました。
更に、本会議に先立って開かれた衆院議院運営委員会で日本共産党の塩川鉄也国対委員長代理は「中国政府による深刻な人権侵害への非難決議だと明確にすべきだ」と求めました。
■「新疆ウイグルにおける深刻な人権状況に対する決議」への反対理由
https://reiwa-shinsengumi.com/comment/11383/
れいわ新選組 衆議院 山本太郎 たがや亮 大石あきこ 2022年1月31日
衆議院・れいわ新選組は、2月1日の衆議院本会議で行われる予定の上記決議に反対する。
いかなる国でも人権侵害は許されない。
もちろんこの決議で言及された新疆ウイグル、チベット、
香港などで行われている人権侵害を許してはいけないことは言うまでもない。
ウイグル自治区での大量拘束や拷問、大規模監視や宗教と文化の抹殺、強制労働や生殖に関する権利の侵害などを直ちに停止し、拘束された人々を解放することを目指し、国連などの独立した調査官や記者等の自治区への入域を受け入れるよう、中国に対して求めるべきである。
れいわ新選組は「腰のひけた決議をやってる感を出す為だけにやるな」と採択そのものに反対しました。同党のHPで「『新疆ウイグルにおける深刻な人権状況に対する決議』への反対理由」と題した声明を発表しています。
■北京五輪「平和の祭典と言えるの?」日本で暮らすウイグル人、家族と連絡取れぬまま
https://www.tokyo-np.co.jp/article/157260
東京新聞 TOKYO Web 2022年1月31日 06時00分
2月4日に開幕する北京冬季五輪。米国やカナダが外交ボイコットを決めた理由の一つが、中国新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族が受けている人権侵害だ。日本国内に暮らすウイグル人たちは、ふるさとで暮らす家族や友人と連絡が取れないなどと訴え、「平和の祭典と言えるのか」と疑問を投げ掛ける。
日本版マグニツキー法(人権制裁法)の議論は?
自民党の重鎮は国名の明示について「名指しはしなくても誰が見ても『中国の人権侵害を非難している』ことは分る筈だ」「北京五輪を前に国会の意思を示す事は重要である」とコメントしました。
米欧主要国は人権侵害を理由に外国当局者に制裁を科す所謂「マグニツキー法」を整備しています。日本版マグニツキー法(人権制裁法)の機運は高まっているものの政府・与党内で具体的な議論は進んでいません。
正直、腰砕け感は否めません。しかし、日中関係や東アジア情勢、北京五輪開幕前の採択、この状況で修正はやむを得ません。ギリギリの範囲でメッセージを出した点は個人的に高評価です。決議は北京五輪閉幕後に参議院で採択を目指します。下手に拗れないように今後の展開に要注目です。




