
新型コロナウイルス対策の特別措置法などの改正案は「参議院本会議」で可決・成立しました。実効性向上を目的に「蔓延防止等重点措置」を新設。質疑は4日間のスピード成立です。蔓延防止等重点措置は法律に要件の規定はなく運用面で懸念は残ります。また「補償」の面では不十分な内容です。
■入院拒否に罰則 コロナ対策の改正法案、審議4日で成立
https://www.asahi.com/articles/ASP236GBCP23UTFK00G.html
朝日新聞デジタル 2021年2月3日 19時48分
新型コロナウイルスの感染拡大に対応して罰則を設ける特別措置法と感染症法の改正案が3日、参院本会議で可決、成立した。自民、立憲民主両党が政府提出法案から刑事罰などの除外で修正合意したため、審議が4日間というスピード成立になった。13日に施行される。採決では、自民、公明、立憲、日本維新の会の各党が賛成し、共産、国民民主が反対した。
■改正特措法成立、休業・入院の拒否者に罰則…首相「支援策の実効性高める」
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210203-OYT1T50233/
読売新聞オンライン 2021/02/03 22:38
菅首相は成立を受け、記者団に対し「支援策と行政罰をセットにし、実効性を高めるものだ。感染者数は減少傾向にあるが、さらに減少させるために法律を生かし、効果をあげていきたい」と語った。
■【主張】コロナ特措法改正 協力に十分な支援必要だ
https://www.sankei.com/column/news/210204/clm2102040003-n1.html
産経新聞 コラム 主張 2021.2.4 05:00
国会審議で野党側からは、今の一律の支援ではなく事業規模に応じた補償を求める声が出た。菅義偉首相は感染の抑制を確かなものとするため、罰則と支援をセットで定めると説明した。
今の飲食業への一律1日最大6万円の支援策には不備な点がある。規模の大きな事業者の経営が立ち行かなくなれば雇用問題に直結する。経営不安から要請に応じなければ感染抑制につながらない。支援額の適正化と対象業種の拡充が必要である。法改正に伴う国会の付帯決議が「経営への影響の度合い」を勘案して、必要な支援を講ずるよう求めた点を重視すべきだ。
特措法をめぐっては他にも問題がある。今回の改正前から特措法第31条は、厚生労働相や知事に、医師や看護師らに対し、必要な医療を行うよう「要請」や履行義務のある「指示」ができる強い権限を与えている。これが適切に行使されず、医療提供体制は崩壊してしまった。法改正以前の政府・自治体の力量も問われている。
Twitterの反応!
緊急事態宣言は栃木を除いて延長と。昨日新型インフル特措法改正案が成立、様々な行動制限、営業制限が続く中、少しでも支援が行き届けばよいが。医療については特段改善なし、せめて在宅で医療の埒外に置かれた何万人という感染者の命の保障が先であるべき。医療体制の逼迫を理由に延長したのだから。
— あべともこ(衆議院議員・神奈川12区・立憲民主党) (@abe_tomoko) February 2, 2021
患者や事業者を罰則をもって強制することは、深刻な差別と分断をもたらし、感染症対策に逆行する。わが党は、このような法改定に断固として反対する。 https://t.co/OdAZ6xPzVy
— 志位和夫 (@shiikazuo) February 3, 2021
先ほど患者や事業者に罰則を課す特措法改正案が参院本会議で成立…
— 吉良よし子 (@kirayoshiko) February 3, 2021
事業者への補償も、医療機関への支援も不十分。入院したくてもできないのに、政府の無策に反省なく罰則で脅して「実効性ある対策」と言うなんてありえません#罰則より給付金と補償を
「ともに生きよう」と言える政治、求め続けます
特措法等改定案が可決された。罰則で脅して抑止効果に期待する点で、刑事罰と行政罰に本質的な差はない。過料額の多寡の問題でもない。
— 山添 拓 (@pioneertaku84) February 3, 2021
実効性や有効性を高めるなら、感染者等の生活保障と事業者への十分な補償こそ必要だ。
偏見や分断で社会を傷つける法案の強行に抗議する。https://t.co/BEi5IAxVQe
コロナ対応の特別措置法改正案について、参考人質疑を行いました。
— 山添 拓 事務所 (@yamazoejimusyo) February 2, 2021
感染拡大防止には、罰則による威嚇でなく、『十分な補償』が最も効果的ではないかと質問。
米村参考人は「非常に共感する。こうした措置が感染症対策として有効かを精査することなしに法案が出てきたのではないか」と述べました。 pic.twitter.com/rIgICISM65
新型インフル特措法改正案の採決がありました。補償がうやむやなのに罰則など私権制限の話ばかりで、議論のあり方に疑問を感じたので反対いたしました。今、国民が求めているのは罰則の強化ではなく補償の強化ではないでしょうか。政府はお金を出して国民の生活を守るべきです。
— 須藤元気 (@genki_sudo) February 3, 2021
蔓延防止等重点措置を新設!
2021年2月3日(水)。新型コロナウイルス対策の実効性向上を目的にした「新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)」「感染症法」「検疫法」の改正案は「参議院本会議」で可決・成立しました。自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会などは賛成、国民民主党、日本共産党は反対、即日公布で施行は2021年2月13日(土)です。
改正特措法!
緊急事態宣言の前段階で「蔓延防止等重点措置」を新設。私権制限を強化。各都道府県知事は宣言下で事業者に営業時間短縮や休業を要請・命令できます。違反した場合に「30万円以下の過料」を科します。宣言前にであれば「20万円以下の過料」を科します。
菅政権は「直ちに罰則ではなく慎重な手続きを踏む」と説明しました。事業者に対してはまず「文書」で伝えた上で専門家の意見を聞いて命令を出します。過料を科す際は各都道府県知事によって裁判所に通知します。
緊急事態宣言は感染状況で最も深刻な「ステージ4」相当、蔓延防止等重点措置は「ステージ3」相当で適用します。同措置は宣言解除後や宣言発令前の地域を対象にします。一方で「蔓延防止等重点措置」については法律に要件の規定はなく運用面で懸念は残ります。
改正感染症法!
入院拒否や入院先を逃亡した感染者に「50万円以下の過料」を科します。また「保健所」による感染経路の確認調査を拒んだ人に対しては「30万円以下の過料」を科します。過料を科すか否かを判断するのは保健所です。厚生労働省は具体例や指針を示す方針です。
また、厚生労働相や都道府県知事は医療機関や施設に「病床の確保」及び「患者の受け入れ」を「勧告」できる旨を記しました。現在の「協力要請」に比べて強い要求です。正当な理由なしにこれを拒否した施設は公表できます。緊急事態宣言の有無に関係なく平時適用します。
改正検疫法!
感染者に対して「自宅待機」など必要な協力要請できます。応じない場合は「施設」に「停留」を可能にします。従わない場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の「刑事罰」を科します。一方で、日本共産党の清水ただし氏は「検疫法の目的は感染症の病原体の国内侵入を防ぐ事」と指摘しました。同法に「自宅待機」を位置付た事で検疫における水際対策に穴を開ける可能性を危惧しています。
補償は不十分!
法改正を巡っては国会審議前に刑事罰を削除した事で与野党合意、菅政権の支持率低下に喘ぐ政府・与党は立憲民主党に配慮する形で修正に応じました。2021年度予算案に優先して審議、質疑は4日間で異例のスピード成立です。私権制限の強化は憂慮すべきではあるもののギリギリで踏み留めた立憲民主党は高評価です。
一方で、日本共産党の田村智子氏は「患者に対する罰則を設ける事は感染症対策の進むべき方向を捻じ曲げる歴史的な逆行だ」「事業者に対する罰則規定も長期に亘る新型コロナの影響で苦境に立つ事業者に補償もなく休業や時短営業に従わせるものであり反対だ」と反対の理由を述べています。
菅義偉首相は成立後に記者団に対して「感染者数を更に減少させる為に個人や事業者の権利に配慮しながら効果を挙げていきたい」とコメントしました。只、政府・与党は特別定額給付金など「一律給付」を断固否定、菅義偉首相は「最終的に生活保護がある」と発言するなど補償の面では不十分です。生活を守る為に声を上げなければなりません。





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