
政府・与党は「新型コロナウイルス対策の特措法」の改正について感染者に「罰則規定」及び「懲役刑」を導入する方針を示しました。一方で、菅政権の支持率低下や世論の後押しで立憲民主党は感染者に対する「刑事罰」を削除した上で罰金を「行政罰」の「過料」に改める事で法改正に合意しました。特措法などの改正案は「衆議院本会議」を通過、参議院での審議を経て早ければ2月3日(水)に成立する見通しです。
■コロナ特措法が衆院通過 与野党、修正で刑事罰削除
https://this.kiji.is/728909729778302976?c=39546741839462401
共同通信 2021/2/1 18:48(JST) 2/1 19:03(JST) updated
新型コロナウイルス対策を強化するためのコロナ特別措置法と感染症法の改正案は1日の衆院本会議で、自民、立憲民主、公明、日本維新の会4党などの賛成多数により可決、衆院を通過した。可決されたのは、4党が衆院内閣委員会に提出した刑事罰を削除した修正案。新設する「まん延防止等重点措置」の基準の明確化をはじめ27項目の付帯決議も採択した。
■自民、立民が感染症法の刑事罰削除で合意
https://this.kiji.is/727340767136432128
共同通信 2021/1/28 10:51(JST) 1/28 11:09(JST) updated
自民党の森山裕、立憲民主党の安住淳両国対委員長は28日、新型コロナウイルス特別措置法と感染症法の改正案修正を巡り、感染症法改正案に盛り込まれた刑事罰を削除することで合意した。
■新型コロナ法案が審議入り 野党、改正案の検討過程を問題視
https://mainichi.jp/articles/20210129/k00/00m/010/085000c
毎日新聞 2021年1月29日 11時32分(最終更新1月29日11時32分)
新型コロナウイルス対策を強化する特別措置法と感染症法の改正案は29日午後、衆院本会議で審議入りする。菅義偉首相が出席し、与野党議員が質問。野党は感染症法を巡り、厚生労働省専門部会の慎重論を「無視」する形で、入院拒否者への刑事罰を盛り込んだ改正案の検討過程を問題視する。対策の実効性を高めるため行政罰の過料を科す是非も焦点。与野党は既に修正を合意しており、改正案は2月3日に成立する見通しだ。
予防的措置で「刑事罰」導入!
2021年1月13日(木)。菅政権は「新型コロナウイルス対策の特別措置法(特措法)」の改正について感染者に「罰則規定」及び「懲役刑」を導入する方向で調整を開始しました。通常国会に提出する予定の「感染症法改正案」に盛り込む方針です。
新型コロナウイルス対応を巡る与野党の連絡協議会、政府・与党は「予防的措置」の観点で「入院を拒否した感染者」に対して「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」を想定している事を説明しました。また「疫学調査」を拒否や虚偽の内容を答えた感染者に対しては「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」を検討しています。
差別防止策に要注意?
2021年1月18日(月)。菅政権は自公両党に対して「特措法」「感染症法」「検疫法」の改正案を提示、大筋で了承されました。集中的な対策を講じる為に「蔓延防止等重点措置」を新たに設けた模様。同日に召集された通常国会に提出する方針です。
特措法の改正案では緊急事態宣言下で各都道府県知事の「営業時間短縮・休業の命令」に違反した事業者に「行政罰」の「50万円以下の過料」を新設します。緊急事態宣言を発出していない状況では「30万円以下の過料」です。立ち入り検査を拒否した場合は「20万円」を上限に過料を科します。
事業者支援については「必要な措置を効果的に講ずる」を明記しました。原案では努力規定に留めていたものの義務化を求める立憲民主党など野党に配慮した形です。また、病床確保に向けて緊急事態宣言の「対象地域以外」でホテルなどの施設を臨時の「医療施設」として活用可能にします。
更に、国や自治体に対して「感染者」「医療従事者」「その家族ら」への「差別防止策」を講じる事を義務付ています。正しく運用されれば問題はありません。しかし、使い方次第で批判の封殺に悪用できるので要注意です。
感染症法の改正案では「入院拒否」及び「入院先を逃亡」した感染者に「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の刑事罰を科す規定を新設しました。また、感染経路を割り出す「積極的疫学調査」に応じない感染者は「50万円以下の罰金」を科します。
更に、病床確保に向けて国や知事は病院などに「患者受け入れ勧告」できる規定を設けました。正当な理由なくこれに応じない場合は「病院名公表」を可能にします。
修正協議を進めた立憲民主党は高評価!
2021年1月28日(木)。特措法などの改正案を巡る修正協議で自民党と立憲民主党は入院を拒否した感染者に対する「懲役刑」を削除した上で刑事罰の罰金を「行政罰」の「過料」に改める事などで合意しました。衆議院内閣委員会などの筆頭理事による修正協議を行ったものの罰則の扱いなどについて折り合わず同日に両党の国会対策委員長の会談を行っています。
自民党の森山裕国会対策委員長は焦点になっていた刑事罰について懲役刑を削除、罰金を行政罰の過料に改めた上で金額を引き下げる方針を伝えました。これに対して、立憲民主党の安住淳国会対策委員長はこれを受け入れる考えを示しました。過料の具体的な金額について引き続き協議する事で法案成立に合意しています。
政府・与党の提示した「懲役刑」に対しては「医療業界」及び「法曹界」の一部は懸念を示していました。菅政権の支持率低下や世論の後押しはあったにせよ「立憲民主党」は非常に大きな仕事をしました。これによって当初の「100万円以下の罰金」に比べて軽い罰則になる見通しです。
国民民主党&日本共産党は「反対」の意向!
2021年2月1日(月)。蔓延防止等重点措置を新たに設けた特措法などの改正案は「衆議院内閣委員会」で入院を拒否した感染者に対する刑事罰を削除する修正を行った上で賛成多数で可決されました。
これを受けて開かれた「衆議院本会議」で同日中に採決、自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、参議院に送付されました。参議院での審議を経て早ければ2月3日(水)に成立する見通しです。
国民民主党は同日の政調全体会議で「事業規模に応じた十分な支援が盛り込まれなかった」として反対の意向を示しました。参議院での動向に要注目です。
日本共産党の塩川鉄也氏は「感染拡大を抑止する為に必要な事は罰則導入ではない」「国民の協力を得にくくし感染コントロールを困難にするものだ」「絶対に認められない」と述べました。また、同党の田村智子氏は「与野党協議で刑事罰は止めると結論が出たのだから政府の責任として法案を出し直すべきだ」と主張しています。




