
持病の「潰瘍性大腸炎」の悪化を理由に辞任を表明した安倍晋三首相。7年8カ月に亘る長期政権の功罪について簡単に総括しました。ポスト安倍の行方も要注目です。
■安倍首相、辞任判断は通院した日 政権私物化は否定
https://www.asahi.com/articles/ASN8X64Z1N8XUTFK032.html
朝日新聞デジタル 2020年8月28日 18時53分
安倍晋三首相は28日の記者会見で、辞任を決断後、表明会見がこの日に至った経緯と理由について明らかにした。首相は「月曜日にそういう(辞任の)判断をした。秋から冬に向けてのコロナ対策のとりまとめをしなければならない。そして実行のめどを立てる、それが今日の日となった」と説明した。
首相の言う「月曜日」とは、今月2度目となった慶応大病院通院の日だ。それから4日後の28日、政権幹部らに辞意を伝え、記者会見して正式表明した。
■安倍首相 辞任の意向固める 持病が悪化したことなど理由に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200828/k10012588071000.html
NHK NEWS WEB 2020年8月28日 14時32分
安倍総理大臣は、持病が悪化したことなどから国政に支障が出る事態は避けたいとして、総理大臣を辞任する意向を固めました。安倍総理大臣は、28日夕方記者会見することになっていて、理由などをみずから説明するものとみられます。
■日経平均、一時600円安「安倍首相が辞任の意向」伝わり
https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS15_Y0A820C2000000/
日本経済新聞 2020/8/28 14:23
28日後場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は下げに転じ、急速に下げ幅を広げた。NHKが「安倍晋三首相が辞任の意向を固める」と伝え、一気に売りが膨らんだ。下げ幅は一時600円を超え、2万2500円台まで下げた。その後は下げ幅を縮め、足元では500円弱の下げ幅で推移している。14時現在の東証1部の売買代金は概算で1兆4678億円、売買高は8億9565万株だった。
■安倍首相は任期全うへ、体調は「変わらない」-菅官房長官
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-27/QFM461T1UM1501
Bloomberg 2020年8月27日 17:22 JST 更新日時 2020年8月27日 18:04 JST
菅義偉官房長官は、健康不安説が出ている安倍晋三首相の体調について、「変わらないと思う」と述べ、自民党総裁の任期である来年9月まで職務を全うするとの見通しを示した。そのための体力や気力も「大丈夫だ」と語った。
【ノーカット】安倍首相が辞意を表明 持病再発「総理の地位にあり続けるべきでない」(2020年8月28日)!
急転直下の辞任劇!
2020年8月28日(金)。安倍晋三首相は総理大臣官邸で行われた臨時閣議で辞任の意向を固めました。NHKなどの大手メディアは速報で報じています。同日17時に記者会見で持病の「潰瘍性大腸炎」の悪化を理由に正式に辞任の意向を表明しています。
直前にブルームバーグの取材に応じた菅義偉官房長官は、安倍晋三首相の体調について「1日2回程度お会いするが変わらない」と述べています。任期を全うするか否かについては「もちろんそうだ」と強調して辞任説を全面否定しました。急転直下の辞任劇です。
安倍晋三首相の体調を巡って週刊文春などは「持病の悪化で辞任はあり得る」と取り上げて物議を醸しました。インターネット上では官邸周辺や大手マスコミの仕掛けた情報操作を疑う声も上っていた程です。尚、本格的な官邸会見は6月18日(木)以来になります。
連続在職日数は歴代最長!
2020年8月24日(月)。安倍晋三首相の連続在職日数を2799日に更新しました。それまで最長だった大叔父の佐藤栄作氏(2798日)を抜いて歴代最長です。ある種の偉業は達成したもののこれをレガシーに首相の座を退いた形です。
日経平均株価は急落!
想定外の辞任劇に「日経平均株価」は一時大幅に下落する事態も発生しました。同日は2万3000円台を推移をしていたものの午後14時頃の速報を受けて600円以上値下りしています。週末の市場はそのまま終了して相場は持ち越しになりました。金曜日を狙って辞任の意向を表明した背景には日経平均株価の急落を最小限に抑える狙いもあったと思われます。今日以降の市場に注目です。
臨時代理は置かず?
安倍晋三首相は新型コロナウイルスの対策等について責任を果す意向を周囲に伝えました。辞任後は臨時代理を置かずに後任を選ぶまでは執務に当たる方針です。
総裁選挙は幹事長に一任!
総裁選挙のあり方や日程については二階俊博幹事長に一任します。来月9月1日(火)に開く総務会で正式に決定する方向で調整を行っています。来月中に総裁選挙を行って後任を選出する事になる見通しです。
総裁選挙は簡素化!
新総裁の選出方法については、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「党員投票」を見送って「国会議員票」を重視する簡素な「両院議員総会」で決める事になりそうです。マスコミ各社の報道によれば簡素化方式で9月15日(火)を軸に行われる予定です。
ポスト安倍候補!
ポスト安倍で有力視されるのは、菅義偉(官房長官)、麻生太郎(副総理兼財務相)、河野太郎(防衛相)、岸田文雄(政調会長)、石破茂(元幹事長)の5名(敬略称)です。他に小泉進次郎(環境相)や稲田朋美(幹事長代行)の名前も上っています。安倍晋三首相は後任を指名していません。下馬評通りの結果にはならないかもしれません。
新総裁の任期!
新総裁の任期は安倍晋三首相の残りの任期で2021年9月までです。新総裁の役目は言わば「敗戦処理」です。安倍政権の尻拭いをさせられる形になるので結果はどうであれ厳しい政権運営を迫られる事になります。
憲政史上最悪の政権!
安倍晋三首相は歴代最長の長期政権となった割には目立った成果を残す事は出来ませんでした。総裁選挙で強調していた「拉致問題」に関して大きな進展はなく自身の目標だった「憲法改正」は草案のまま国会への提出は見送りになっています。
外交では良くも悪くも日米同盟強化に尽力しました。一方で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と多数の会談を行ったものの日露の共同経済活動を認めた程度で肝心の「北方領土」の返還交渉は難航しています。海外支援の名目で海外にバラ撒いた金は「100兆円」を超えたと言われています。
経済政策の「アベノミクス」は7年8カ月ずっと道半ばのままでした。日本の「国内総生産(GDP)」は大きく回復せずに2度の消費税増税や社会保障費の負担増で日本経済をマイナスに転落させています。
トドメとなったのは新型コロナウイルスの流行です。島国である日本は本来であれば防疫の好条件を揃えていたものの習近平国家主席の国賓来訪計画の為に中国に忖度した事で初動対応は大きく遅れました。5月の緊急事態宣言解除後に続々と緩和策を打ち出したものの第2波の感染拡大は止まらない状態になっています。
また、公約違反のTPP交渉参加による売国行為、外国人労働者の受け入れ拡大や水道民営化、株式市場を支える為に大量の公的資金を投入、自衛隊の海外派遣に必要な関連法案の整備、共謀罪や特定秘密保護法など数々の悪法を数の力でゴリ押ししています。更に、三権分立の破壊やマスメディアの懐柔など独裁路線に邁進しています。
公文書の改竄や所謂「モリカケ桜」に代表される数々の不正で日本の政治を徹底的に破壊しました。旧民主党政権を含めてここ数十年で間違いなく最悪の政権です。一度壊れたものは簡単に元に戻りません。安倍政権の路線を継承する政治家は沢山居るのでまずは彼等を一掃しなければなりません。
安倍政権の暴走を許したマスメディアの大罪!
安倍政権の暴走を許した要因は2つあってひとつは国民の無関心です。もうひとつは「マスメディアの腐敗」です。多かれ少なかれ圧力はあったにせよ安倍政権の不手際や野党の実績を報じる事はほぼ皆無でした。辞任表明当日には安倍晋三を労う極端な街の声を取り上げるなど最後の最後まで筆舌に尽くし難い忖度報道を繰り返しています。
同じ過ちを繰り返すな!
今後同じ過ちを繰り返さないように「為政者」を監視し続けなければなりません。緊張感のある国会を維持する為に「正しい情報」を広めてチェック機能を強化しなければなりません。国民は政治に無関心ではダメなのです。無能な政権は国民の生命や財産を危険に晒します。





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