
2019年12月12日(木)。神奈川県川崎市は「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」に刑事罰を科す「差別のない人権尊重のまちづくり条例」を賛成多数で可決・成立しました。刑事罰に踏み込んだ「条例」は全国初で刑事裁判を経て「最高50万円」の「罰金」を科します。罰則なしの一部規制を今年12月と来年4月に先行して周知期間を経て2020年7月に全面施行を目指す方針です。
■川崎市、ヘイトスピーチ禁止条例可決 罰金最高50万円
https://www.asahi.com/articles/ASMDB6GG9MDBULOB01K.html
朝日新聞デジタル 大平要 2019年12月12日 18時37分
外国にルーツがある市民らを標的にしたヘイトスピーチ(憎悪表現)に刑事罰を科す、全国で初めての条例を川崎市がつくった。12日に開かれた定例市議会本会議で可決、成立した。差別的な言動を繰り返すと、刑事裁判を経て最高50万円の罰金が科される。同様の条例づくりに取り組む全国の自治体のモデルになると注目されている。
■【熱血弁護士・堀内恭彦の一筆両断】条例でヘイトスピーチに「罰則」加速する危険度
https://www.sankei.com/life/news/190915/lif1909150037-n1.html
産経新聞 ライフ くらし 2019.9.15 21:46
何よりも大きな問題は、「ヘイトスピーチ」の定義が極めて曖昧で不明確なことである。今回の川崎市の条例案は、ヘイトスピーチ解消法と同じく、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」とは、「専ら本邦の域外にある国もしくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(本邦外出身者)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動(せんどう)する不当な差別的言動である」と定義している。
しかし、この定義を読んでも、一般国民は、何がヘイトスピーチであるかを明確に理解することは難しいであろう。
Twitterの反応!
2007年ごろ、在日朝鮮人高齢者無年金訴訟の弁護団会議の時、初めて在特会という名前を聞いた。2009年に朝鮮学校襲撃事件があった。川崎の反ヘイトスピーチ条例まで、長かった。成立に尽力された皆さんに心からありがとうとおめでとうを伝えたい。
— 弁護士 上瀧浩子 (@sanngatuusagino) December 12, 2019
京都は、まだこれからだ。
私の住む川崎市でヘイトスピーチ禁止条例が可決。
— Akira Kawasaki (@kawasaki_akira) December 12, 2019
条例にはいろいろと課題もあるでしょうし、表現の自由との関係で気をつけなければいけないことも多々あると思います。それでも、まずは「よかった!」と思います。
川崎市、ヘイトスピーチ禁止条例可決 罰金最高50万円 https://t.co/dzkC6MHn0x
⭕️川崎市、ヘイトスピーチ禁止条例可決 罰金最高50万円
— 盛田隆二 (@product1954) December 12, 2019
条例可決、やったね! ただし、捜査機関が現場で直接言動を判断し、逮捕する恐れもまた払拭できないので、川崎市による告発を訴訟条件にすべき。さらにネットのヘイトスピーチ規制も慎重かつ積極的な検討が必要だろうhttps://t.co/zIASpsl2Bb
川崎市ヘイトスピーチ条例の件だが、この前の東大准教授発言事件で判ったのだけど、現行法では「男女間の平等」は、かなり明確だけど、「国籍間の平等」については不明瞭らしい。この条例は、その間隙を突いて成立してしまった感がある。(続く)
— スペシウム (@specium78) December 12, 2019
しかし、海外からの労働者受け入れが増大する以上、「国籍間の平等」について議論を深める必要があり、この条例は、先走り過ぎな気がしてならない
— スペシウム (@specium78) December 12, 2019
「日本人に対するヘイトスピーチにも罰則を盛り込め!」ってネトウヨさんがイキってるけど、本当に大丈夫?
— ごうくん I’m not ABE (美しい国、ニッポンの普通の日本人) (@gokun1973) December 12, 2019
パヨクだの反日だのって、散々やってるじゃん😝
川崎市、ヘイトスピーチ禁止条例可決 罰金最高50万円(朝日新聞デジタル) - Y!ニュース https://t.co/HxjzK3DaIu
このニュースですか❓
— tany (@tani83st) December 12, 2019
泣きながらぶら下がってコメントしてる #ネトウヨ が沢山いて、ネトウヨホイホイ状態になってる場所ってのは😅⁉️
川崎市、ヘイトスピーチ禁止条例可決 罰金最高50万円(朝日新聞デジタル) - Y!ニュース https://t.co/JeESXcl96O
表現の自由に配慮も「運用」に一抹の不安!
神奈川県川崎市は同日の定例市議会本会議で「差別のない人権尊重のまちづくり条例(以下ヘイトスピーチ禁止条例)」を賛成多数で可決・成立しました。川崎市議会59議席の内採決時に退席したの2人で残る57人は全員「賛成」しています。同様の条例制定に取り組んでいる全国の地方自治体のモデルケースになり得ます。
ヘイトスピーチ禁止条例は「人種」「国籍」「性的指向」などあらゆる差別を禁じました。日本以外の国・地域の出身者やその子孫に対する差別的言動を繰り返した場合について刑事裁判を経て「最高50万円」の「罰金」を科す内容です。
罰則対象の「差別的言動」は「道路」「広場」「公園」など市内の「公共の場所」で「拡声器」や「看板」などを使用して「日本以外の国・地域にルーツを持つ事」を理由に「居住地からの退去や生命・自由への危害を扇動・告知」したり「人間以外のモノに例える」など著しく侮辱する事に限定しています。
差別的言動を確認した場合は第1段階で市長は中止の「勧告」を行います。第2段階で勧告に従わず再び差別的言動に及びそうな「個人」及び「団体」に中止を「命令」します。再度命令に違反した場合に市長は氏名などを公表した上で捜査当局に告発。起訴されて裁判で有罪になった場合は「最大50万円」の罰金を科します。
乱用を防止する為に市長は「勧告」「命令」「告発」の各段階で有識者らで構成される「差別防止対策等審査会」に意見を聴いた上で条例を運用します。また、前述の定例市議会本会議では「市民への周知徹底」の他に「日本人に対して不当な差別的言動による著しい人権侵害が認められる場合には必要な施策・措置を検討する事」などを盛り込んだ「附帯決議」を可決しています。
ヘイトスピーチ禁止条例は法律の範囲内!
川崎市の担当者によれば「ヘイトスピーチ解消法(対策法)で定めた範囲内の条例」である事を強調しました。福田紀彦市長は「川崎市は元祖・多様性の街」「これからも差別を生まない土壌づくりをしていくべき」「レイシャルハラスメント防止の徹底に努めていく」とコメントしています。パブリックコメントで寄せられた意見を重く受け止めて今後は国に対して働き掛けを行います。
曖昧で不明確な定義!
ヘイトスピーチ禁止条例を巡って保守や右派系の市民団体は「表現規制に繋がる」「日本人への批判も盛り込むべきだ」等の声で相次ぎました。同条例の反対を求める抗議運動も起きています。インターネット上では賛否両論で表現規制の問題を含めて条例として明文化する事に不安の声も上っています。
罰則を盛り込んだ条例は全国初です。日本は所謂「ヘイトスピーチ解消法(対策法)」を制定しているものの罰則なしの理念法です。海外ではヘイトスピーチを厳しく禁止している国は多くあります。一方で「定義」を明確に定めています。比べて日本の「ヘイトスピーチ」の定義は極めて曖昧で不明確です。
ヘイトスピーチ禁止条例の問題点(まとめ)!
(1)極めて曖昧で不明確な定義
(2)日本人に対する逆差別?
(3)憲法「14条」「31条」「94条」に違反する可能性
(4)拡大解釈及び類推解釈の危険性
(5)創作物(フィクション)に波及する可能性
(6)全国の地方自治体に波及する危険性
(7)ヘイトスピーチ解消法(対策法)の更なる改悪に?
ヘイトスピーチ禁止条例の問題点は主にこの7点です。公権力の濫用防止と表現の自由に最大限に配慮したのは高評価です。一方で「個人の主観」で好き勝手に人を罰する事を禁止する為に「憲法14条」で「法の下の平等」を保障しています。曖昧で不明確な定義を改善しなければこれ以上に規制は明確に憲法違反になります。
差別的言動は幾らでも拡大解釈できるので「特定の勢力に都合の悪い言論」を封殺する事は可能です。また「憲法94条」を独自に解釈して好き勝手に条例を作る地方自治体は少なくありません。全国の地方自治体に波及する危険性は大いにあり得ます。これを含めて今後の動向は要注意です。




