
2019年8月29日(木)。厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は2020年の「介護保険法改正」に関する議論をスタートしました。給付と負担の見直しの検討項目に「現在自己負担無しの施設入居者の室料有料化」「ケアプランの作成費用」「要介護1及び要介護2の『軽度者』の生活援助サービスの総合事業への移行」など8項目を挙げています。今年10月の消費税率10%で国民負担は重くなる中での「社会保障費の削減」に対してインターネット上では批判殺到しています。
■要介護1、2を給付外し 社保審部会で議論開始
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-08-30/2019083001_02_1.html
新聞赤旗 2019年8月30日(金)
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は29日、来年の介護保険法改定へ向けた議論を開始しました。厚労省は、給付と負担の見直しの検討項目として、「軽度者」(要介護1、2)の生活援助サービスや、ケアプランの作成費用など8項目を盛り込みました。
委員の「認知症の人と家族の会」の花俣ふみ代常任理事は、「どの論点も利用者にはかなり厳しい議論が予想される」と指摘。15年の一定所得以上の人の利用料2割負担への引き上げでも、サービス抑制と介護する家族への深刻な影響がでていると述べ「(これ以上の負担増・給付抑制では)私たちの生活と介護はたちゆかなくなる。絶対に認められない」と強調しました。
Twitterの反応!
要支援を介護保険から外したら、次は要介護1,2を給付外しへ?さすがにこれは恐怖としかいえない。特養に入る基準も厳しくなってくるのでは。消費税増税で社会福祉維持充実どころか地獄の道へ。税はどこに?
- 三宅雪子(大量懲戒請求事件)(一部の)高齢者はなぜネトウヨにはまったか (@iyake_yukiko35)2019/8/31
生きていけなくなる、、、 pic.twitter.com/Yj41fad9xX
— 花柳志保 (@hanayanagishiho) August 30, 2019
ほらきた!
— 塩村あやか🐾参議院議員(りっけん) (@shiomura) August 31, 2019
参院選の演説で毎回訴えたこと、
「参院選が終われば、要介護1.2外しをしてくるはずだ!だから、与党に勝たせてはいけない‼️」「この国は武器の爆買いをするのではなく、まずは国民の暮らしに向き合ったバランス取った税の再配分を‼️」 https://t.co/gYKm1Hz97z
うちのおばあちゃん要介護2で認知症も進行してて、デイとショートステイ使いながらギリ在宅生活続けてる、って感じなんですけど、マジで破産する未来しか見えない。母が一人で働きながら80代の両親と同居してるんですよ。無理でしょこんなの。 https://t.co/vySTiVJWT1
— my life (@seeyou_mylife_) August 31, 2019
僕は認知症の父を10年にわたって介護した。
— 盛田隆二 (@product1954) August 31, 2019
認知症はゆっくり進行したので、要介護1から2に進むのに8年かかり、最後の2年で要介護5まで一気に進んだ。
僕の仕事は小説を書くことなので一般の人より時間の調整はつきやすいが、もし要介護1、2が外されていたら、生活は立ち行かなくなり破綻しただろう。 https://t.co/rX1HyxEbHF
何度も言うけど、介護苦による心中とか殺人が起こるのは要介護1または2なんだよね。それを国、というか財政審議会(会長は榊原経団連会長)が提言して今検討されている。財務省の言い分としては要介護1、2は軽度という認識。そして最近は福祉行政に財務省や経産省が口を出すケースが増えている。 https://t.co/jce5p740Jz
— KaSuehiro (@KaSuehiro) August 31, 2019
こ、これは本当に生活に行き詰まる世帯が急増する。経済的負担は精神的負担を倍増させることもいともたやすく想像できる。要介護2って結構大変だよ…。しかも3以上に上げないような風潮が強く感じられるし。団塊の世代を親に持つ子ども世帯の共倒れも目に見えるよう…辛すぎる。 https://t.co/f4odH6JXcd
— 青山ゆみこ (@aoyama_kobe) August 31, 2019
消費税の増税分は社会保障費にまわすって聞いてたのに、要介護1と2の給付外し検討開始っていわれるのすごくびっくりする。
- 宮下奈都 (@atsMiya)2019/8/31
介護保険法改悪「8項目」すべて利用者の負担増&給付減!
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は給付と負担の見直しの検討項目に「現在40歳以上からの2号保険者の引き下げ」「施設入所者の居住費・食費の自己負担の引き上げ」「現在自己負担無しの施設入居者の室料有料化」「ケアプランの作成費用」「要介護1及び要介護2の『軽度者』の生活援助サービスの総合事業への移行」「高額介護サービス費の自己負担限度額の上限引き上げ」「利用料が2割~3割となる『現役並みの所得者』の対象拡大」「介護サービスの現金給付」の8項目を挙げてます。
安倍政権は昨年末に閣議決定した「改革工程表」で2020年の通常国会に介護保険法の改正案を提出して「要介護1」及び「要介護2」の人の生活援助サービスを現在の保険給付ではなく市区町村の裁量で実施する「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」に移行する方針です。
2014年の同法改正では要介護に比べて軽度な「要支援1」及び「要支援2」の「訪問介護」と「通所介護」のサービスを保険給付から外してこの総合事業に移行しました。結果的に「本人の意思」に関係なく介護を「卒業」させられる事態が相次ぎました。2017年の同法改正では「一人暮らしで年収344万円以上」若しくは「夫婦世帯で463万円以上」ある高齢者のサービス利用について自己負担率を2割⇒3割に引き上げたばかりです。
総合事業は崩壊寸前?
総合事業は元々介護保険を適用する介護サービスと別に市区町村のボランティアや地域住民の協力を得て独自に介護予防を行っていく「地域の支え合いを推進する制度」です。しかし、安倍政権はこの制度を「介護保険切り捨ての受け皿」に利用し始めました。総合事業は前述のように「ボランティア」などを中心の支え合う制度を基にしています。結果的に「本来は受けられる筈の満足なサービスを受けられない」といった状況を作り出したに過ぎません。
また、総合事業は制度維持の面で崩壊寸前の危機的な状況になっています。訪問介護における家事などの身の回りのケアなどの生活支援サービスやリハビリなどボランティアでは賄いきれず従来の介護事業者も参入させているものの報酬は安く事業者の収入は落ち込んでいます。人材確保も困難で安定したサービスを提供できなくなった事で総合事業を撤退する事業者は続出しているそうです。
総合事業への移行期間は2018年3月に終了したものの所謂「みなし指定」を「更新しない意向を示した事業所がある」と回答した市区町村は676に上ります。この数は全体の約4割に相当します。
財務省は「デイサービス(通所介護)」をターゲットに!
制度的に限界寸前なのに今度は「要支援」の人だけでなく更に専門的な介護の必要な「要介護」の人の買い物や家事支援などの生活援助サービスを保険給付の対象外にする訳です。更に「財務省」は生活援助サービスだけでなく要介護1及び要介護2の「デイサービス(通所介護)」も総合事業の低報酬介護に移行すべきだと主張しているのです。
介護難民増加は確実!
少子高齢化で受け皿の確保もままならないのに介護保険法を改悪すれば安定した介護を受ける事のできない「介護難民」を爆発的に増す事になります。従来通りのサービスを受ける為の利用料を払えずに著しく生活の質が悪化するケースはすべての庶民に起り得る事です。
介護に関して公的な安定的なサービスを受けられなくなれば負担は家族に降り掛かります。総務省の調査によれば2016年10月~2017年9月までの1年間で「介護・看護を理由に離職した人」は9万9100人に上ります。離職後にそのまま無職になる人は7割を超えていて仕事を諦める女性は8割に上ります。これは非常に深刻です。
議論は既に「法案成立ありき」で!
介護保険法の改悪は介護の必要な人そして介護をする人にとって「人生」を左右する程の大打撃を与える悪法である事は断言できます。要介護まで保険給付の対象外になれば介護保険制度は大きく変質してしまいます。社会保障審議会介護保険部会は年内に報告書を取り纏める方針です。議論は既に「法案成立ありき」で進んでいます。最大のチャンスだった「参議院選挙」で自公維の議席を減らす事はできませんでした。止められる手段は限られています。





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