
2019年7月21日(日)。同日投開票の「参議院選挙」に関して追記です。所謂「階級闘争」を全面に打ち出して注目を集めた山本太郎氏の率いる「れいわ新選組」の得票数。自民党の補完勢力「日本維新の会」の議席増。驚愕の議席獲得に沸く「NHKから国民を守る党(N国党)」と「憲法改正」について纏めました。今後の「国会運営」における彼等の動向に注目です。
■れいわ新選組が比例選で2議席 山本代表「次は衆院選」
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190724/k00/00m/010/124000c
毎日新聞 2019年7月24日 14時30分(最終更新7月24日15時09分)
21日に投開票された参院選で、山本太郎代表が率いる「れいわ新選組」が2議席を獲得した。全身の筋力が低下する難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う舩後(ふなご)靖彦さん(61)と、生後8カ月の時の事故で頸椎(けいつい)を損傷し、右手以外ほとんど動かない木村英子さん(54)。2人とも比例代表で優先的に当選できる「特定枠」で立候補。れいわの支持拡大の勢いに乗り、当選を決めた。
■れいわの山本代表 次期衆院選「政権を取りに行く」
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190722/k00/00m/010/105000c
毎日新聞 2019年7月22日 07時42分(最終更新7月22日08時27分)
「れいわ新選組」から比例代表で出馬し落選した山本太郎代表は、22日未明に開いた記者会見で、次期衆院選に関して「(自身が候補者として)出るしかない」と述べた。一方、立候補する選挙区などについては「一番話題を呼べるような形でやりたい。戦い方は決まっていない」と話した。
■維新・音喜多氏が当選確実 元都民ファの前都議 東京
https://www.asahi.com/articles/ASM7K64F9M7KUEHF00P.html
朝日新聞デジタル 2019年7月22日 00時27分
前都議で維新新顔の音喜多駿氏が参院東京選挙区(改選数6)で当選確実。
音喜多氏は、小池百合子都知事が特別顧問を務める都民ファーストの会都議団の初代幹事長を務めたが、2年前に離党。昨年10月に地域政党・あたらしい党を設立し、代表の肩書で参院選に臨んだ。
■NHKから国民を守る党代表の立花氏が初当選「スクランブル放送」導入求める
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190722/k00/00m/010/096000c
毎日新聞 2019年7月22日 04時16分(最終更新7月22日04時16分)
参院選の比例代表(改選数50)で、政治団体「NHKから国民を守る党」代表を務める新人の立花孝志氏(51)が当選を確実にした。
立花氏は、受信料を支払う契約者だけが視聴できる「スクランブル放送」をNHKに導入すべきだと主張。「NHKをぶっ壊す!」などと連呼する政見放送が、動画投稿サイト「ユーチューブ」で多数再生されていた。
れいわ新選組!
山本太郎氏の率いる政治団体「れいわ新選組」は2議席を獲得しました。当選したのは所謂「特定枠」で立候補した舩後靖彦氏(61歳)と木村英子氏(54歳)です。前者は「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」患者。後者は「脳性麻痺」の重い病気で車椅子生活を送っています。重度障害者2人を国会に送り込んだのは偉業。国会は否応なしに「バリアフリー化」を迫られる事になります。
昨年の国会で成立した「改正公職選挙法」で参議院選挙は比例代表に「特定枠」を新設しました。特定枠は各政党で当選者の優先順位を予め決める事のできる制度です。特定枠の候補は「個人」の「得票数」に関係なく「名簿の順」で当落が決まります。この制度を使うか否かや何人に適用するかは各政党の判断に委ねられます。
一方で、特定枠の候補者は他の候補者と違って大きな制限を受けます。個人の選挙活動は認められず「選挙事務所」や「選挙カー」を持てない上に「ポスター」の掲示も禁止されています。
山本太郎氏は落選も「政党要件」は満たす!
党首の山本太郎氏は比例代表3位で立候補したものの落選しました。しかし「れいわ新選組」は比例代表で得票率2%を達成した事で「公職選挙法」及び「政党助成法」における「政党要件」を満たしています。政治団体⇒政党に昇格です。所謂「諸派」の議席獲得は2001年の「非拘束名簿式導入」以来初の事です。
落選した山本太郎氏は党代表で活動を継続。日本維新の会の松井一郎のように「非国会議員の党首」として「党首討論」や「メディア出演」も可能になります。また「政党交付金」も受け取れるので資金難はある程度解消する筈です。
驚異的な得票数?
山本太郎氏個人の得票数は99万2267票。政党名での得票数は122万6413票。政党得票総数は228万0764票。得票率は4.55%。社民党の政党得票総数は役105万票。国民民主党の政党得票総数は350万票。結党3カ月弱で既存の政党に匹敵する数字を叩き出したのは驚異的です。
政治団体はテレビや新聞で扱われません。インターネットと街頭演説だけで多くの共感を得られたのは特筆すべき点です。朝日新聞とANNの出口調査によれば所謂「無党派層」の1割強は「れいわ新選組」に票を投じていた模様。無党派層の獲得率で言えば野党の中ではトップクラスに入ります。
尚、山本太郎氏個人の得票数は現行選挙制度での落選者の最高得票を更新しました。これまでの比例代表落選者の最高得票は10年に浮島智子(公明党)の得た約45万票です。
次の一手に期待!
今回の参議院選挙で最も熱いのは「れいわ新選組」です。反米真正保守+反緊縮路線の新しい政党の誕生は非常に重要な意義を持っています。低投票率の選挙は組織票の強固な政党ほど有利になります。そんな中でこれだけの票を集めた事は個人的に大きな「希望」です。政党に昇格した事で今後はメディアも無視はできません。
一方で、これまで数々の政党が誕生しては志半ばで消えてきました。このような「現象」はピークを迎えて徐々に下降していくものです。今の「熱」を維持するのは容易な事ではありません。野党乱立で政権批判票を奪い合っている状況で「単独過半数」は事実上不可能です。非常に高いハードルではあるもののこの点を解決できれば次の「衆議院選挙」で跳躍も夢ではありません。
日本維新の会!
立憲民主党の山岸一生氏に競り勝った音喜多駿氏は東京都選挙区6位で当選。全国的な広がりを欠いていた「日本維新の会」は遂に「関東圏」で議席を獲得しました。ご存知のように同党は「新自由主義」「緊縮路線」「憲法改正」を進める自民党の補完勢力です。安倍政権発足以降「TPP」「水道民営化」「外国人労働者の受け入れ拡大」「共謀罪」等々数々の悪法成立をアシストしてきた戦犯です。
対案房やディベート好きの多い現代にマッチしたスタンスで着実に「反自公票」を奪い取ってきました。一度当選した政治家は簡単に落選しません。神奈川選挙区で当選した松沢成文は表現規制推進派で知られる危険人物です。日本維新の会の全国的な基盤強化に弾みを付けてしまいました。非常事態です。
尚、みんなの党⇒日本を元気にする会⇒無所属(かがやけTokyo)⇒都民ファーストの会⇒無所属(かがやけTokyo)⇒あたらしい党を渡り歩いてきた音喜多駿氏は最終的に「日本維新の会」で出馬しました。国会議員としての立ち位置は推して知るべしです。
NHKから国民を守る党(N国党)!
YouTubeを中心にカルト的な人気を博している「NHKから国民を守る党(N国党)」は59万7925票を獲得して比例代表で1議席確保しました。当選したのは党代表の立花孝志氏です。小選挙区で得票率2%を達成した事で「公職選挙法」及び「政党助成法」における「政党要件」を満たしています。
N国党は「NHKをぶっ壊す!」のシングルイシューを売りにした政党です。躍進の要因は今春の「地方統一選挙」で地方に基盤を作った影響は大きいと見られています。インターネットを駆使した選挙戦+NHKへの反発で議席獲得に繫がった可能性は高いです。
最終目標は「NHK放送のスクランブル化」で達成された際は党を解党。立花孝志氏は議員を引退する事を明言しています。尚、NHKの「偏向報道」については「政治家が番組内容について言及するのは検閲となり違憲となるから行わない」と述べています。
N国党は「憲法改正」の行方を左右する政党です。立花孝志氏は「NHK問題以外には個人的な方針は封印する」と発言していた模様(調査中)。しかし、NHK放送のスクランブル化に協力する事を前提に憲法改正を賛成する事を明言しました。自民党に擦り寄る事は容易に想像できます。既に丸山穂高に入党を呼び掛けるなど危険な兆候を見せています。




