
2019年4月25日(木)。2016年に成立した「改正通信傍受法」の施行を前に「警察庁」は全国の警察に専用パソコン141台を配備するなど実施に向けた整備状況を明らかにしました。手続きや運用の仕方を定めた「改正国家公安委員会規則」も同日に決定した模様。各警察本部は「特殊詐欺対策」などを名目に専用機器を使用して「携帯電話」などを自由に通信傍受する事を可能にします。同法の施行は2019年6月1日(土)です。
■警察庁、通信傍受用のパソコンを配備 6月の法施行前に
https://www.asahi.com/articles/ASM4R5JVBM4RUTIL036.html
朝日新聞デジタル 編集委員・吉田伸八 2019年4月25日 23時18分
犯罪捜査での電話などの通信傍受(盗聴)が、これまでの通信事業者の施設でなく、警察など捜査機関の施設で行えるようになる。この改正通信傍受法が6月1日に施行されるのを前に、警察庁は25日、全国の警察に専用パソコン141台を配備するなど、実施にむけた整備状況を明らかにした。手続きや運用の仕方を定めた改正国家公安委員会規則が同日決定された。
改正法は刑事司法改革関連法の一つとして2016年5月に成立。傍受の対象犯罪が拡大されるとともに、運用手続きが「合理化・効率化」された。現在は、携帯電話会社など通信事業者の施設を捜査員が訪れ、社員の立ち会いの下に実施しているが、警察の施設で立会人なしで行える。裁判所から得た傍受令状を事業者に示して実施するのは従来と同じだ。また、通話などを一時的に保存した上で後から再生する方法も可能になる。
■警察の通信傍受、昨年1万回超 12事件で82人を逮捕
https://www.asahi.com/articles/ASM2G4RCVM2GUTIL01M.html
朝日新聞デジタル 2019年2月15日 13時39分
法務省は15日、全国の警察が昨年1年間に通信傍受法に基づいて傍受した携帯電話の通話は計1万359回だったと発表した。傍受した通話のうち、犯罪に関連するものは約1割の1318回だったという。12の事件で計82人の逮捕につながったという。
Twitterの反応!
警察本部で通信傍受へ 「指導官」新設、6月からhttps://t.co/XqHopVF8ZG
- ソウル・フラワー・ユニオン (@oulflowerunion)2019/4/26
明快に憲法破壊。民主主義の破壊。憲法第21条、通信の秘密はこれを侵してはならない。この国は来るところまで来てるんやで。
次から次へと意のままの安倍政権。我が子に幸せな社会を残したいと願うが、実際には相当まずい方向に…けど、こんな社会を子どもたちに残したくない→警察本部で通信傍受へ 「指導官」新設、6月から: 日本経済新聞 https://t.co/nIUlBsnPvm #通信傍受 #安倍政権退陣
- 増田かおる 松戸市議会議員 【いきいき子どもが育つまち!】 (@atsudosimasuda)2019/4/26
今後、携帯での会話は常に警察に盗聴されるかもしれないと考えたほうがよさそうだ。それもブラクラのURLを掲示板に書き込んだだけの中学生を逮捕するような警察にだ。内密な話は電話ではなく直接会って話すほうが安全ですね
- 古川 (@urukawa1917)2019/4/25
通信傍受、6月から警察本部でも可能にhttps://t.co/rR4IHwp7Zv
一般市民の携帯電話の通話内容を警察が公然と傍受出来る時代が遂に来てしまいました。「反体制」の市民の通話が盗聴される日も遠い先のことではないような気がします。
- なうちゃん (@auchan0626)2019/4/26
通信傍受、6月から警察本部でも可能に(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース https://t.co/tcA1B88y7K @YahooNewsTopics
「通信の秘密」を侵害する「盗聴法」の施行に向け、着々と準備が進められている。これからは盗聴の際に第三者である通信事業者の立ち会いも無くなる。KGBが暗躍したソ連のようになっていく日本。
- 異邦人 (@eriozka1917)2019/4/26
警察庁、通信傍受用のパソコンを配備 6月の法施行前に:朝日新聞デジタル https://t.co/8FVZ5wxLQv
警察国家化を進める安倍政権!
警察庁によれば「専用機器」は「パソコン型の特定電子計算機」で「通信事業者」と「専用回線」で結ばれた警察本部の室内で使用されます。傍受した内容は「暗号化したデータ」で送信されて同計算機で暗号化される前の状態に復元します。
同計算機は警察本部ではなく警察庁の地方機関である「管区警察局」及び「各県の情報通信部」で保管します。捜査員は傍受の度に「裁判官」の令状に基づいて借りる事になります。今年6月1日(木)の時点で全国に141台保有。年度内に更に47台増やす予定です。
また、適正な事件捜査を担保する為に「傍受指導官」を新設しました。傍受指導官は刑事総務課などに所属する警部以上の中で指名します。事件ごとに指導官1人を配置して傍受現場に立ち会わせて客観性や適正さをチェックする仕組みです。
尚、法務省によれば2018年度に通信傍受法に基づいて傍受した携帯電話の通話は計10359回で傍受した通話の内「犯罪」に関連するものは「約1割」の「1318回」です。12の事件で計82人の逮捕に繫がっています。2008年の通信傍受法施行以降の適用は計145事件。逮捕者は計857人に上ります。
傍受の対象になる「通信」は?
傍受の対象になる「通信」に該当するのは「電話(固定電話/携帯電話)」だけでなく同法2条1項で規定している「その他の電気通信」も対象になる「通信」に含まれます。具体的には「電子メール」及び「FAX」です。尚、同法で許容される「傍受」は「通信線」に「傍受装置」を接続して行う「ワイヤータッピング」と呼ばれる方法です。所謂「盗聴器」によって直接会話を傍受する「バッギング」については具体的に規定していません。
通信傍受による捜査の許容される「犯罪」は?
2008年に施行された通信傍受法で規定している対象犯罪は「薬物」「銃器」「集団密航」「組織的殺人」の「4種類」に限定していました。2016年12月に成立した改正同法は組織性の疑われる「爆発物使用」「傷害」「誘拐」「逮捕監禁」「詐欺」「窃盗」「放火」「殺人」「児童ポルノ」など「9種類」を追加しています。
通信事業者の立会い不要で「録音」を可能に!
最大の変更点はこれまで必要だったNTTなど「通信事業者」の立ち会いは不要になる事です。また「リアルタイム」での傍受に限られていた改正前と大きく変わって「録音」を可能にします。更に「警察施設」など「捜査機関内」での傍受も可能になった事は要注意です。
令状主義の危険性!
通信傍受は裁判官に発付される傍受令状に基づいて行われます。人権制約を伴う強制処分を実施する根拠・必要性の有無について裁判官によってチェックされる仕組みを取っています。所謂「令状主義」です。捜査当局は通信傍受を行う際に「検察官」又は「司法警察員」は地方裁判所の裁判官に対して傍受令状を請求します。しかし、令状の「却下」はまずあり得ません。過去には「虚偽の令状請求」で発付した例もあります。
形骸化した通信の秘密!
警察庁は客観的な立場で適正に運用する事を強調しているものの「憲法21条」の「通信の秘密」に違反している事はほぼ確実です。一応「通信傍受記録の閲覧」や「不服申し立て」を出来る事を本人(捜査対象者)に通知する事を前提に運用します。しかし「捜査権の濫用」や「プライバシーの侵害」を防止する条文は存在しません。警察国家を目指す安倍政権の動向は要注意です。
長年「憲法21条」に関心を持ってきた者として「通信の秘密」の形骸化を許してしまった事は痛恨の極みです。また、当ブログで再三述べてきたように「法律」である以上「更なる改正」若しくは「解釈次第」で変貌するのです。今後は「他の悪法との併用」及び「憲法改正」もセットで警戒しなければなりません。




