
2019年3月19日(火)。著作権法改正案の審議過程について自民党の甘利明は自身の公式ホームページで「この法案に一部慎重論はありましたが、大きな反対もなく党・文部科学部会や政調審議会をクリアし、最終決定機関の総務会にかかる事になりました」とコメントしました。数多く寄せられた慎重/反対論は「無かった事」にしたのです。
■国会リポート 第377号
http://amari-akira.com/01_parliament/
甘利明 Official Web 2019年3月19日
総覧
インターネットの「違法サイトに掲載されている作品」を「個人が楽しむため」にダウンロードするという行為に「限定して」これを規制する、いわゆるダウンロード規制について誤解が誤解を呼び、大きな波紋となりました。既に「音楽や動画の同様な行為」は規制され、違法行為は収まりましたが「漫画等静止画」については規制されていないため、違法サイトのやりたい放題でなんとかして欲しいという悲痛な叫びが漫画家や出版社から提示されました。文化庁が腰を上げたところ、この法律により「ビジネスや創作活動」のためにインターネットからダウンロードする行為が規制されるとの誤解が拡大しました。この法案に一部慎重論はありましたが、大きな反対もなく党・文部科学部会や政調審議会をクリアし、最終決定機関の総務会にかかることになりました。直前に当事者の日本漫画家協会からヒアリングがなされていないことがわかり、党の総務会で古屋圭司委員から拙速との声が上がりました。政策の中身の誤解はそれを払拭する手続きが加わればいいわけですが、合意形成作業の中で重大な瑕疵があったので、私が「政治論として」文科部会に差し戻し、漫画家協会等関係者からきちんと意見を聴取し、誤解や不安があるならばそれに適切に対処した後に再度諮るべきだという主張をし、総務会は差し戻しの判断を致しました。
Twitterの反応!
このブログによって、甘利明氏は今でもかの著作権法改定案で問題がなく、誤解されただけだというスタンスでいることがわかったので(文化庁著作権課と同じ)、まだまだ俺たちの戦いはこれからだ! という感じでしょうか…。『違法DL規制 誤解広がり見送りに』https://t.co/yjutnNi2Qo
- 三崎尚人 (@misaki)2019/3/22
甘利明氏と文化庁著作権課は、結局のところ、どうやら今でも折れる気がないようであることがわかったので、今回の著作権法改定案を憂いている団体は、法案が国会に出た出なかったに関わらず、その意思を表明しておいた方が良いように思われますです、ハイ。
- 三崎尚人 (@misaki)2019/3/22
おい、全然違うぞ。甘利大臣は、自分に都合良くデタラメを並べる嘘つきなのか、それともまともな理解ができないほど頭が悪いのか、どっちだ?https://t.co/SiXd1BuEUh
- 山北篤 (@heser)2019/3/22
うわー、この認識しかないのに強行しようとするとかアウトだ。安倍内閣の足をすくうとかそういうレベルではないよ。 / “甘利明 Official Web | Akira Amari” https://t.co/wemEV5QhTn
- 歌らん(平凡な一般人) (@eekly_utaran)2019/3/22
ダメだ。いかに審議会での議論が文化庁によりゆがめられて報告されたのかを専門家が検証してることすらし知らない。 https://t.co/KjdzgxDBIW
- ママサン (@amasan_h)2019/3/21
コミケ等「二次創作」の規制は誤解と不安?
静止画ダウンロードの違法化に関して「批判的な意見」はあくまで「誤解」や「不安」に基く「勘違い」と主張している模様。また、マスメディアの報道に対して「これに関し、日経と朝日は全く異なる報道を致しました」「片方の社は最初から安倍内閣の足をすくおうと決めていたかのような報道ぶりです」と批判しています。
著作権法改正案を巡って甘利明は3月6日(水)に開かれた自民党の文部科学部会と知的財産戦略調査会の合同会議で「政治判断」と述べて反対派の意見を押し切っています。法案の修正も認めませんでした。著作権法改正案は「違法ダウンロード」の規制範囲を拡大する内容です。統一地方選挙⇒参議院選挙への影響を懸念した安倍晋三の「政治判断」によって自民党は3月13日(水)付で「通常国会」への提出を見送っています。
甘利明は法案の提出を見送った理由に関して「それとは別項目のコミケ等二次創作や創作のためのダウンロード行為がこの法律により規制されるという誤解と不安が広がりました」「文化庁は誤解と不安を取り除く措置で対応したいと考えていましたが、これだけ誤解が広がる現状では、一度リセットして関係者と丁寧な協議を重ね、組み立て直すという方がより良いものが出来上がるという判断に至った訳です」と言及しています。
これらの認識はまったくの「事実誤認」で「文部科学部会」や「政調審議会」で「文化庁」は意図的に反対意見を紹介していなかった事も報じられています。法案の可決を前提に反対意見を無視してゴリ押しした結果で反発を受けたのです。批判的な意見をまとめて「誤解」で一蹴して改めて著作権法改正案の可決を主張しています。
この「誤解」は所謂「共謀罪」の審議において推進派の使用したフレーズです。批判的な意見を「認めたくない時」に用いられる傾向にあります。著作権法改正案は「表現/言論弾圧」を目的にした「悪法」に変貌する危険性を再確認しました。海賊版対策の美名だけで容認できる代物ではありません。
反対派の意見を押し切った甘利明も鶴の一声でストップを掛けた安倍晋三も政治判断を行ったに過ぎません。政府・与党を「数の論理」で暴走させないように「戦略的な投票」を呼び掛けていくべきです。参議院選挙の結果次第で「原案」のままゴリ押しされるケースは十分にあり得ます。




