
2019年2月13日(水)。文化庁の「文化審議会著作権分科会」は漫画などの「海賊版サイト」の規制を柱とした「著作権法改正」の基本方針を了承しました。先月の「法制・基本問題小委員会(以下小委員会)」の議論を踏まえて「漫画」だけでなく「写真」「小説」「雑誌」「論文」など「あらゆるコンテンツ」について「著作権侵害を承知の上でダウンロード」する事を全面的に禁止にする方針です。要注目の「スクリーンショット」を保存する行為も処罰対象になります。
■著作権侵害、スクショもNG「全面的に違法」方針決定
https://www.asahi.com/articles/ASM2D6F8NM2DUCVL03V.html
朝日新聞デジタル 上田真由美 2019年2月13日 17時09分
権利者の許可なくインターネット上にある漫画や写真、論文などあらゆるコンテンツについて、著作権を侵害していると知りながらダウンロードすることを全面的に違法とする方針が13日、文化審議会著作権分科会で了承された。「スクリーンショット」も対象となり、一般のネット利用に影響が大きいことから反対意見が出ていた。悪質な行為には罰則もつける方向で、文化庁は開会中の通常国会に著作権法の改正案を提出する。早ければ来年から施行となる見込み。
■「意味のない法改正」「イラスト界が壊滅する」違法ダウンロード対象拡大で漫画家らが“反対集会”
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1902/08/news154.html
ITmedia NEWS 2019年02月08日 20時30分 公開
本集会では、1月23日に反対声明を出した日本マンガ学会会長でもある漫画家の竹宮惠子さん、漫画家の赤松健さん、法学者の大屋雄裕さん(慶應義塾大学教授)、藤本由香里さん(日本マンガ学会理事、明治大学教授)が登壇。これまで映像と音楽に限定されていた違法ダウンロードの対象を静止画やテキストなど著作物一般に広げる政府の意向について、「漫画の研究や創作活動を阻害する」「そもそも法的な実効性があるのか疑問」など、それぞれの立場で反対意見を述べた。
Twitterの反応!
これはヤバイよ(;゜0゜)。創作、研究、プレゼンの前提となる資料収集が違法になってしまい日本の競争力を損ねてしまう。ダウンロードは単なる受容・消費ではなく、創造行為であることを理解しない面々によりインターネットの自由が殺されるのを止めなくてはいけない。
- 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@takulawyer)2019/2/13
https://t.co/7uUVQk0aRx
あーあ。とうとう政治的案件として阻止しなければいけない段階にきてしまったか。本来ここで変なの出してこなけりゃ、穏便な改正になっていたはずなのに、改正自体に反対しないといけなくなってしまった。 / “著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定:朝日…” https://t.co/j0YwtKfAJh
- 中杜カズサ@コミティア127 い-62b (@akakzs)2019/2/13
今、文化庁に電話で質問しました(2019/2/13/14時36分)
- 安保関連法廃止自由と良心 武蔵野美術大学有志 (@usabianpo)2019/2/13
ダウンロードやスクリーンショットは違法になりますが、「カメラで パソコン画面を撮影するのは対象外なので 違法ではない」そうです。
著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定 https://t.co/uh1HJFcdL2
『著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定』
- きむらとも (@imuratomo)2019/2/13
●個人のブログやツイッターの画面であっても…
●権利者に実害がある場合、反復継続して繰り返す行為
ほう。例えば安倍首相のツイートを批判する引用RT、これが政権に実害を及ぼすと判断されたら、狙い撃ちかい。https://t.co/iUg4Cf0O7z
著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定:朝日新聞デジタル https://t.co/nccaYI8hZE ダウンロード自体を違法にしたら、違法サイトを違法だと批判することもできなくなるじゃないか。引用や批評の自由を侵害するのは「インターネット利用の萎縮」なんて生易しいもんじゃない。
- 大貫剛 (@hnuki_tsuyoshi)2019/2/13
個人のブログやSNSも処罰対象に!
現行法で「著作権者の許可を取らずにインターネット上に無断でアップ(投稿)する行為」は「映像」及び「音楽」に限って違法になっています。今回のポイントは「静止画」を対象にした点です。海賊版サイト対策を建前に刑事罰の対象範囲を「インターネット上のあらゆるコンテンツ」に拡大します。一応「著作権侵害を確定的に知っている場合」に限定しているものの「萎縮効果」は甚大です。
個人の「ブログ」及び「SNS」の一部に「権利者の許可なく『漫画・アニメーションの絵』『イラスト』『写真』『論文』などを載せている場合」は「ダウンロード」すれば処罰対象になります。また「歌の歌詞」を端末内でコピーして張り付ける「コピー&ペースト」や「メモ代わりにパソコンやスマートフォンなどの端末で画面を撮影して保存」する「スクリーンショット」も著作権を侵害してるものであれば「違法ダウンロード」と見做されます。
只、刑事罰の対象範囲に関して前述の小委員会で「国民の日常的な私生活上の幅広い行為が対象になる」と慎重な対応を求める声で相次ぎました。最終的に「被害実態を踏まえた海賊版対策に必要な範囲で刑事罰による抑止を行う必要性が高い悪質な行為に限定する事」と定義しています。所謂「海賊版サイト」で直接ダウンロードする。原作をそのまま丸ごと複製する。権利者の利益を不当に害する。反復継続して繰り返す行為などを念頭に「文化庁」で要件を絞り込む方針です。まだ付け入る隙はあります。
海賊版対策は最凶レベルの「表現/言論規制法」に!
スクリーンショット機能はほぼ全てのパソコンやスマートフォンに標準で搭載されています。また「映像」は「キャッシュ」になり難いものの「静止画」や「PDFファイル」はキャッシュ等にダウンロードして確実に「ローカルPC」に保存されます。現時点では「キャッシュ機能」も違法になる恐れもあるのでパソコンやスマートフォンを利用している全ての人達は「全員容疑者」になってしまいます。
文化庁は現在の「通常国会」に「著作権法改正案」を提出した上で来年早々の施行を予定しています。スクリーンショットはメモ代わりに使われたりインターネット上の情報共有を目的に使われる事も多いです。安易に規制強化に妥協する事はインターネット利用者の「自由な表現/言論活動」を潰す事になります。前述の「悪質な行為」の定義は解釈次第でほぼ無限に拡大します。
再掲。本件は表現規制的に「妥協できるか否かのボーダーライン」を遥かに超えています。静止画ダウンロードの違法化は運用次第で最凶レベルの「表現/言論規制法」に変貌します。インターネットを利用した「政治活動」及び「情報拡散」に与える影響は深刻です。例えば先に摘発された海賊版サイト「漫画村」について証拠を添えた記事を書けなくする事も出来てしまいます。落とし所を見つける戦い方は絶対にNGです。妥協ありきでは話になりません。




