
2019年1月22日(火)。厚生労働省の公表する「毎月勤労統計調査」の不正問題で「特別監察委員会」は根本匠厚労相に調査報告書を提出しました。樋口美雄委員長(労働政策研究・研修機構理事長)は同日の記者会見で「課長級職員・元職員は事実を知りながら漫然と従来の方法を踏襲していた」と強く批判しています。一方で「組織的な隠蔽」については「認定できなかった」と結論付けました。驚くべき茶番劇です。
■特別監察委「組織的な隠蔽なし」「課長級が決裁」「毎月勤労統計」不正調査
https://mainichi.jp/articles/20190122/k00/00m/040/236000c
毎日新聞 2019年1月22日 20時53分(最終更新1月23日11時09分)
厚生労働省が公表する「毎月勤労統計」の不正調査問題で、同省特別監察委員会(樋口美雄委員長)は22日、関係職員らへの聞き取り調査などによる報告書を公表した。組織的な隠蔽(いんぺい)は認定できなかったとしたうえで、不正手法は課長級職員が決裁し、上司に相談せずに続けられていたのは不適切と指摘。調査方法の無断変更は統計法違反にあたるとしたが、罰則の対象となる故意性まではなかったとした。
■小池氏「過失で隠蔽したってこと?」勤労統計不正
https://www.asahi.com/articles/ASM1Q61BDM1QUTFK01G.html
朝日新聞デジタル 2019年1月22日 19時51分
共産・小池晃書記局長(発言録)
(「毎月勤労統計」不正を検証する特別監察委員会が「隠蔽(いんぺい)の意図が認められなかった」との報告書をまとめたことに対し)過失で隠蔽したってこと? 気付かないうちに自分がやっていることが実は隠蔽だったと、そんな言い訳が通用するわけがない。子どもだってだまされないような子どもだましだ。
根本匠厚生労働大臣の責任も問われるし、データ補正が始まった当時の厚労大臣だった加藤勝信・自民党総務会長の国会招致も当然、必要になってくる。トカゲのしっぽ切りにしてはいけない。官僚にすべての責任を押しつけてそれでおしまいということは許されないということは、はっきり言っておきたいと思います。(記者団に)
Twitterの反応!
今日2回目のヒアリング。毎月勤労統計問題で、特別監察委員会の中間報告を受けて、夕方再度開催しましたが、あまりにひどい。中身がない。故意に、とは言えない=違法じゃない。ともかく国会開会前に大急ぎで出させたから、省内の人間以外のヒアリングもやってない! pic.twitter.com/zn75Jbvx6W
— 高橋千鶴子 (@chiduko916) 2019年1月22日
「不正な手法を容認する記述を削除したのは、総務省の統計委員会がこの統計の調査手法の点検を決めた直後だった」←不正手法容認記述は2003年からあったようだが、それを削除したのは2015年との事。不都合なものは隠蔽・破棄する安倍政権の面目躍如といったところですかね。https://t.co/Gz0uSV8r4L
- 大下賢一郎 (@emuchiman)2019/1/22
課長が判断すれば幹部の判断で組織の判断だろう(大笑)。役所の課長は英語でDirectorって言わないかい?
- 藤原直哉 (@aoyafujiwara)2019/1/23
特別監察委「組織的な隠蔽なし」「課長級が決裁」 「毎月勤労統計」不正調査https://t.co/MHMLt0mh2A
勤労統計不正、隠蔽認めず=課長級が「漫然と踏襲」―監察委報告書 #excitenews
- 左近治 (@akonosamu)2019/1/22
どっちもグルで、単に「隠蔽」という言葉に注視させて隠す意図は無かったと片付けたいだけの詐術です。隠す意図は無かろうとも奸計を図っていたのは火を見るより瑩らか。 https://t.co/dV4zX1CGZf
【政府の信用が音を立てて崩れてきた】厚労省による毎月勤労統計の不適切処理について、大阪、神奈川、愛知でも同様の措置を執るように課長級の「政策統括官付参事官」名で文書を出していたという。これでは組織的な改ざんではないのか。財務省だけでなく、厚労省も。https://t.co/DBgSUO96In
- 金子勝 (@asaru_kaneko)2019/1/15
不祥事の原因は統計調査部門内の連携不足!
前述の報告書を受けて根本匠厚労相は鈴木俊彦事務次官ら退職者を含めた計22人を懲戒処分にしました。自身は就任時からの給与・賞与を全額自主返納する考えを示しています。ここまでは前々回の記事でお伝えしました。特別監察委員会の樋口美雄委員長は問題の背景について同日の記者会見で「課長級職員・元職員は事実を知りながら漫然と従来の方法を踏襲していた」と述べています。
不正手法は課長級職員で決裁して上司に相談せずに続けられていたのは不適切と指摘しました。また「調査方法の無断変更」は「統計法違反」に当たるとしたものの「罰則」の対象になる「故意性」までは「無かった」としています。
調査報告書は2015年調査分の事務取扱要領の抽出調査を容認する記述を削除した事について、当時の担当課長は「隠す意図は全くなく既にだいぶ前から抽出調査で行われていた」と証言した事を挙げています。これを理由に「組織的な隠蔽の意図」については認めませんでした。記者会見に同席した弁護士の荒井史男委員長代理は「真っ白とまでは言い切れないが隠蔽があったと言い切るには無理がある」とコメントしています。
毎月勤労統計調査は従業員500人以上の事業所を全て調査対象としています。しかし「東京都」に関して2004年に約3分の1の「抽出調査」に無断で切り替えていました。抽出調査にした動機について「500人以上の事業所から苦情が多く都道府県担当者からの負担軽減の要望を踏まえて全数調査にしなくても精度が確保できると考えた」と調査報告書に明記しています。
また、抽出調査後に「全数調査」に近づける為の「復元処理」をしなかった事に関しては「企画担当からシステム担当に復元処理する為の作業依頼がなされシステムの改修を行っていれば問題は生じなかった」と指摘しました。一連の不祥事の原因について「統計調査部門内の連携不足」との見方を示しています。
厚生労働省は2018年6月に同様の手法に切り替えて「神奈川県」「愛知県」「大阪府」に通知した際に課長級の「政策統括官付参事官」の名で文書を出していた事も判明しました。要するに「マニュアル」を作っていたのです。一般常識で言えばこうした行為は「組織的な隠蔽(関与)」と呼びます。調査報告書では「2003年以前に抽出調査したサンプルの一部を勝手に破棄した事」に触れていないなど「第3者委員会」として設置した筈の特別監察委員会もグルになって火消しを図っている印象です。




