
■東京都のヘイト規制条例案が可決 施設の利用制限盛る
https://www.asahi.com/articles/ASLB33K6BLB3UTIL00F.html
朝日新聞デジタル 井上裕一 斉藤寛子 2018年10月3日 23時53分
人権の尊重をうたう東京都の条例案が3日、都議会総務委員会で賛成多数で可決された。ヘイトスピーチ規制と、性的少数者を理由にした差別の禁止が柱で、いずれも都道府県の条例で初となる内容だ。5日の本議会で成立し、来年4月に全面施行される見通しだが、恣意(しい)的な運用や「表現の自由」への影響を心配する声があがっている。
■現代版治安維持条例!?~10.5「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案」可決にともなう施設利用の事前制限などに対する抗議集会 2018.10.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/433062
IWJ Independent Web Journal 取材地:東京都 記事公開日:2018.10.10
早稲田大学非常勤講師・田島泰彦氏は「役所自体が、ある言論を理由にして集会をさせないとか、言論表現の行使そのものを規制し、抑圧することはやっていいはずがない」と述べ、「これはかつての治安維持法なり、治安維持例とか、検閲の仕組みとか、戦前のやり方そのものだ」と述べた。
続けて田島氏は「これは決してイデオロギーの話とか、右とか左とかという話ではなく、我々の自由な言論や民主主義を大事にしようと思うならば、この条例は絶対に阻止しなければならない」と強く訴えた。
ジャーナリストの寺澤有氏は「これからこの条例に従って施設が使用禁止になり、表現の自由が制限されていく。そういう世の中になっていく。なんとかもう一度表現の自由を獲得するため、あらためて施設を使えるようにするために闘っていく。東京都民がそれを経験するのもいいかなと、今は前向きに考えている」と述べた。
Twitterの反応!
人権条例は2019年4月に全面施行!
所謂「人権条例」と呼ばれる「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案」は10月5日(金)の「東京都議会(第3回定例会)」で都議会自民党を除く賛成多数で可決・成立しました。前々日10月3日(水)夜に行われた「総務委員会」で都議会自民党は「不当な差別についての十分な定義はなく拙速に制定すべきではない」として「継続審議」を求めました。しかし、他の会派の賛成で第3回定例会に送られて前述の結果に終わっています。全面施行は2019年4月になる見通しです。
同条例は2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて「人権都市・東京」の実現をアピールする為に小池百合子東京都知事の肝いりで昨年12月に制定方針を表明しました。今回は「LGBT(性的マイノリティー)に対する差別の禁止」「『政機関』及び『事業者』」或いは『都民個人』に差別解消・理解促進の努力義務」「ヘイトスピーチ規制(解消)」に焦点を当てた東京都独自の条例です。これらに焦点を当てた都道府県の条例制定は初のケースです。
公的施設利用の事前制限「基準」は「条例成立後」に?
ヘイトスピーチ対策の柱として「ヘイトスピーチを繰り返す団体(個人)」に対して「東京都知事の権限」で公園やホールなど「公的施設」の利用を「事前」に「制限」できる内容になっています。また、学識経験者らによる「審査会」の意見を踏まえて「団体(個人)名」及び「活動概要」を公表する事も可能にしています。
東京都によれば「差別的な言動の可能性が高く危険性が明らかな場合」を想定しているものの具体的な利用制限の基準は「条例成立後」に規定する方針です。主な問題点に関しては当ブログの「2018年9月13日(木)付の記事」をご覧ください。都議会会派「かがやけTokyo」の音喜多駿都議の懸念した部分は概そのままになっています。
公的施設利用の事前制限は川崎市で昨年11月にガイドラインを公表。京都府及び京都市も同様のガイドラインを作るなど対策は広がりつつあります。一方で、2016年に全国で初めて「ヘイトスピーチ抑止条例」を設けた大阪市は事前制限を検討したものの最終的に見送っています。
表現規制反対派は要警戒!
東京五輪・パラリンピックに便乗している感は否めないものの「基本的な理念」については概賛同します。しかし、一歩間違えれば「表現の自由」に抵触する事は容易に想像できる筈です。事前制限の基準を後付で規定するなど立法のプロセスを見れば「恣意的運用」は「前提」になっていると言わざるを得ません。将来的に「市民運動」及び「取材活動」に影響するだけでなく自主規制を含めて「創作物」に波及してくる事は最大限に警戒しなければなりません。非実在青少年の時に比べて表現規制反対派の温度は低かった模様・・・。
尚、元上智大学文学部新聞学科教授で法学者の田島泰彦氏やジャーナリスト有志らで作るグループは「表現の自由を不当に侵害し自由な言論やジャーナリズムを脅かしかねない」と反対声明を発表しました。市民団体「外国人人権法連絡会」共同代表の丹羽雅雄弁護士は「首都である東京都でヘイトスピーチを含む差別を防ぐ為の条例ができる事は評価できる」とした上で条文に「制限基準」を書かれていない点を「知事が恣意的に基準を作れてしまう」と問題視しています。




