
■日米貿易交渉開始で合意、安倍首相「交渉中は自動車関税回避」
https://jp.reuters.com/article/abe-trade-comment-idJPKCN1M634W
ロイター ワールド 2018年9月27日 08:07
[27日 ロイター] - 日米両政府は米東部時間26日(日本時間27日未明)、2国間のモノの貿易を自由化する物品貿易協定(TAG)の締結に向けた交渉を始めることで合意し、共同声明を発表した。
安倍晋三首相は、交渉の継続中は米国が各国に対して検討している自動車への追加関税は、日本に対して発動されないことを確認したと明言。 農産品の関税に関しても「過去の経済連携協定の内容が最大限」として、環太平洋連携協定(TPP)などで決めた水準を上回る関税引き下げはないとの考えを示した。
TAGは投資・サービス分野などを含む自由貿易協定(FTA)とは異なるとされ、安倍晋三首相は「FTAとは全く異なる」と説明した。一方、トランプ大統領とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表はFTA締結を目指すと発言した。
■トランプ大統領 先制パンチ 安倍首相に“圧力”
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2018/09/25/kiji/20180924s00042000326000c.html
スポニチ Sponichi Annex 社会 2018年9月25日
国連総会に出席するため23日に米ニューヨーク入りした安倍晋三首相は同日夜(日本時間24日午前)、トランプ大統領とトランプタワーで夕食会に参加した。26日に日米首脳会談を控えた前哨戦で、トランプ氏は早くも両国間最大の懸案となる貿易問題で“圧力”攻勢に出た。
会食の前、トランプ氏はツイッターで「米国は日本を助けるために多くのことを果たしてきた。もっと互恵的な関係を築きたい」とジャブを入れた。6月の米朝首脳会談から北朝鮮が表立った軍事行動を見せていない点を強調し、いきなり強気な要求を突きつけたとみられる。
Twitterの反応!
海外報道等によれば、日米物品貿易協定は2段階のフェーズに分かれるようだ。第1段階は「早期の成果(early harvest)」が出て物品が対象となる。その後に第2段階として他の物品。日本政府もこの2段階制に合意したが政府担当者は「どの品目が第1段階の交渉に該当するかまだ不明」と述べている。
- 内田聖子/Shoko Uchida (@chidashoko)2018/9/27
とにかくこの日米物品貿易協定は日本政府が「これまでのFTAとは違う」「包括的でない」等、言い訳したところで客観的には物品対象の日米FTAです。だから米国議会で正式に承認もされる必要がある。現在の関税の応酬とFTA交渉は全く別物。交渉開始前に国会でその枠組みや対象分野等を明確にすべき。
- 内田聖子/Shoko Uchida (@chidashoko)2018/9/27
少し厳密に補足しますが、米国での「議会承認」という意味は、大統領に貿易交渉の権限(TPA:貿易促進権限)を委託し、議会では「YES」か「NO」の一括議決で済むようにする手続きです。本来米国では通商交渉の交渉権限は議会に属します。
- 内田聖子/Shoko Uchida (@chidashoko)2018/9/27
しかし日米物品貿易協定の交渉中に自動車の関税措置を米国が発動しないとすれば(他の措置をとる可能性はあるものの)米国の対日貿易赤字は大きくは減らない。どうするつもり?と思う。その意味でトランプ大統領も安倍首相もそれぞれに「国民に辛うじて言い訳できるぎりぎりの線」を拵えたことになる。
- 内田聖子/Shoko Uchida (@chidashoko)2018/9/27
米国でトランプの貿易政策は必ずしも支持されていないことに複雑な問題もある。ちょうど昨日(9/26)米国議会上院の財政委員会では両党・自動車業界からの自動車関税に関する公聴会が開催。自動車業界は「高関税措置を望んでいない。同措置は巡り巡って米国産業や消費者に害をもたらす」と証言。
- 内田聖子/Shoko Uchida (@chidashoko)2018/9/27
もう一つ日本政府が頭が痛いであろう点は、すでに批准手続き中のTPP11と今回の日米物品貿易協定との整合性だ。国内向けには「TPP以上の譲歩はしない」と言うがTPP11参加国、特に日本に農産物を輸出する豪州やNZ、カナダ等にとっては日米物品貿易協定は面白くないだろう。どう説明しているのだろうか?
- 内田聖子/Shoko Uchida (@chidashoko)2018/9/27
事実上の日米FTA?
米国のニューヨークで開かれる「国連総会」に出席する為に訪米した安倍晋三はトランプ・タワーでドナルド・トランプ大統領との夕食会に参加しました。一部のメディアは米国に大きく有利な「日米FTA(自由貿易協定)」の交渉の参加と「日本製の自動車」の関税を引き上げるように要求された事を報じています。そして、日本時間9月27日(木)深夜の「日米首脳会談」で「TAG(物品貿易協定)」の締結に向けた2国間交渉を開始する事で合意し共同声明を取り纏めたようです。
両首脳は「日米間の貿易・投資を更に拡大して世界経済の自由で公正かつ開かれた発展を実現する事の決意を再確認した」と成果をアピールしました。日米両国は所要の国内調整を経た後にTAGの締結に向けて「農産品」などの関税を含ため2国間交渉を開始する事で合意しています。ドナルド・トランプは記者会見で「協議すべき事は幾つもあるが貿易について交渉を始める事で合意した」と述べています。
交渉の継続中は米国の要求している「日本」に対する「関税」の引き上げ措置は発動しない事で一致した模様。更に「交渉にあたってはお互いの立場を尊重する」とした上で「日本としては農林水産品について過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限である」としています。日本側は「農林水産品」に関して「TPP協定」など過去に締結した経済連携協定の水準を上回る関税の引き下げには応じない事も盛り込まれています。
しかし、日米のパワーバランス的に2国間協定は米国の要求がダイレクトに通り易く日本側に不利である事は周知の事実です。今回の共同声明は我が国に非常にリスキーな内容になる事は間違いありません。日米両国は年内に本格的な2国間協定の交渉をスタートさせる見通しです。
米国側は日本に対して米国主導のFTA交渉に参加するように要請した上で「自動車関税」を「25%」とする大幅な引き上げを示唆していました。日本側はFTA交渉を受け入れる代わりに「高関税措置」を回避する狙いがあります。安倍晋三はドナルド・トランプと友好関係をアピールしているものの実状は米国に新たな要求を突き付けられたに過ぎません。既に先制攻撃を受けているのです。
ドナルド・トランプは欧州⇒カナダ⇒メキシコ⇒中国と世界各国に「貿易戦争」を仕掛けています。米国は「次なる標的」として「日本」に照準を合わせている事は念頭に置かなければなりません。TPP協定と同じくTAGの中身はギリギリまで不透明なままになる筈です。今後の展開に要注意です。





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