
■「うろつき」の判断基準は?都の改正迷惑防止条例成立
https://www.asahi.com/articles/ASL3Y5CVPL3YUTIL02R.html
朝日新聞デジタル 荒ちひろ 2018年3月29日 21時28分
「みだりにうろつくこと」を規制対象に新たに加えるなどした東京都の改正迷惑防止条例が29日、都議会本会議で共産などを除く賛成多数で可決、成立した。規制対象と認定する基準があいまいだとして、市民運動や報道機関の取材活動への悪影響を懸念する声もある。施行は7月1日。同様の規定は17道府県の条例に盛り込まれている。
知人同士のトラブルで、男が相手の自宅周辺をうろつく――。改正条例案を提出した警視庁は、こうした事案に対応できるようになると説明する。警視庁によると、実際こうしたトラブルが過去にあったが取り締まりの対象にならなかった。うろついていた男は後日、被害者を蹴るなどして5日間のけがを負わせたとして、傷害容疑などで逮捕されたという。
東京都版"共謀罪"の狙い!"うろつく"だけで、逮捕される可能性が!?
東京都版共謀罪の施行は今年7月1日(日)!
東京都議会は3月29日(木)に「みだりにうろつく事」などを加えた「つきまとい行為」の規制範囲を広げる「迷惑防止条例改正案」を「日本共産党」など一部の政党を除いた賛成多数で可決しました。罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に強化された模様。東京都版共謀罪の施行は今年7月1日(日)です。
今回の改正で「つきまとい行為」「粗野・乱暴な言動」「連続電話」「汚物の送付」の4類型だった規制対象に「監視していると告げる事」「名誉を害する事項を告げる事」「性的羞恥心を害する事項を告げる事」の3類型を追加しました。また「つきまとい行為」の定義に「住宅周辺での待ち伏せ」や「見張り」などに加えた「みだりにうろつく事」を新たに盛り込んでいます。
更に「電話」及び「FAX」を想定している「連続電話」に「電子メール」及び「SNS」などの「連続送信」を追加しました。上記の「7類型」のいずれも「反復して行ってはならない」と定めています。同条例で規制するのは「恨み」や「ねたみ」など「悪意の感情」に基づく行為です。
所謂「逆恨み」を理由に相手の自宅に「相手を中傷する内容の文書」や「卑猥な写真」などを「繰り返し送りつける」ような事例は今回の改正で取り締まりの対象になり得ます。ちなみに「恋愛感情」に基づくものは「8類型」に分類した上で「ストーカー規制法」で禁じています。
盗撮行為の規制強化!
迷惑防止条例改正案は「盗撮行為」を「規制できる場所」を拡大しました。これまでの「電車」や「銭湯」など「公共の場所」に加えて「住居内」や「ホテルの居室」などの「私的空間」及び「学校」「会社の事務室」といった「不特定又は多数の人の出入りがある場所」も取り締まりの対象になり得ます。スマートフォンの普及した現代で定義の曖昧さは気になるものの一定の評価はできます。
恣意的な乱用に警鐘!
反対意見書を出した弁護士団体「自由法曹団東京支部」などは「恋愛感情による嫌がらせ行為を取り締まるストーカー規制法と異なり悪意の感情は定義が曖昧なため乱用の危険は大きい」と指摘しました。これに対して警視庁の市村諭生活安全部長は「市民活動や報道機関による取材活動など労働運動・市民活動・取材活動など正当な理由で行われる行為は対象ではない」「乱用防止規定もある」と3月19日(月)の「警察・消防委員会」で答弁しています。
しかし、自由法曹団東京支部は「何が『正当な行為』かを決めるのは現場の警察官の判断に委ねられている」「恣意的な乱用を防止する事は到底不可能だ」と疑義を呈しました。捜査当局の「現場判断」で「取材」「デモ」「集会」「ビラ配り」を抑圧できる危険性は拭いきれません。問題は「5年後10年後にどのように解釈されているか?」です。
こうした悪法の恣意的な乱用に関して「できない」と「やらない」は天と地ほどの差があります。気休め程度の「乱用防止規定」はまったく期待できません。これは本家の所謂「共謀罪」も同様の危険性を孕んでいます。
良識を失った東京都議会!
東京都版共謀罪の採決は「都民ファーストの会」「自民党」「公明党」「民進党」「かがやけTokyo(旧みんなの党)」の賛成多数で可決しています。反対は「日本共産党」「立憲民主党」「東京・生活者ネットワーク」「日本維新の会」です。地方議会の腐敗は今に始まった事ではありません。しかし「憲法94条違反」を理由に反対した政党は極少数でした。国家権力の暴走を抑える筈の「憲法」はまったく機能していません。非常に深刻な事態です。




