■音楽教室の演奏に著作権者の許諾必要な場合も 政府答弁書
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170519/k10010987501000.html
NHK NEWS WEB 2017年5月19日 13時29分
政府は19日の閣議で、音楽教室での演奏であっても、公衆に直接聞かせることを目的とし、聴衆から料金をとったり、演奏者に報酬が支払われたりした場合などには、著作権者の許諾を得る必要があるなどとする答弁書を決定しました。この答弁書は、民進党の宮崎岳志衆議院議員が提出した質問主意書に対するものです。
それによりますと、音楽教室における著作物の演奏であることをもって、直ちに著作権者の許諾を得ることなく演奏できるとはされていないとしています。そのうえで、音楽教室の演奏が公衆に直接聞かせることを目的とし、聴衆から料金をとったり、演奏者に報酬が支払われたり、営利目的の場合には、著作権者の許諾を得る必要があるとしています。
著作権の使用料をめぐって、JASRAC=日本音楽著作権協会は、楽器の演奏を教える音楽教室についても、来年以降、徴収する方針を決めていて、音楽教室の事業者と協議しています。
JASRACに利する閣議決定で「音楽文化衰退」の懸念!
政府は「音楽教室の演奏で公衆に聞かせる事を目的にして聴衆から料金を取る場合は著作権者の許諾を得る必要がある」とする答弁書を5月19日(金)に閣議決定しました。宮崎岳志議員(民進党)の提出した質問主意書に対する回答です。音楽教室の著作権を巡っては音楽教育を守る会とJASRAC(日本音楽著作権協会)で裁判沙汰に発展する事態になっています。
JASRAC(日本音楽著作権協会)は音楽教室から著作権使用料を徴収する方針を打ち出しました。文化庁への届け出を経て2018年1月から「音楽教室の年間受講料の2.5%を徴収」する方針を今年2月に明らかにしています。大手の経営する教室からは徴収を始める考えです。
JASRACは「音楽教室」で楽器の練習や指導で楽曲を演奏する事は「音楽著作権管理」の「演奏権」に当たると判断している模様。既に「ダンス教室」や「カラオケ教室」等からは著作権使用料を徴収しています。ちなみに「大学」や「専門学校」に関しては「当面は徴収しない方針」としているようです。
これに対してヤマハ音楽振興会と河合楽器製作所は「音楽教育を守る会」を結成。JASRACを相手に「支払い義務がない事の確認を求める訴訟」を東京地裁に起こす方針を決めました。音楽教育を守る会は「音楽教室での練習や指導の為の演奏に演奏権は及ばない」との見解を表明しています。
著作権は正当な権利です。しかし、著作権使用料が生徒に転嫁されて「レッスン料」が高くなれば生徒が減少する恐れがあります。中長期的に見れば「音楽文化」の発展を侵害する可能性があります。
共謀罪の適用範囲を正当化する閣議決定?
音楽教室の著作権使用料と共謀罪は密接に関係している問題です。林真琴刑事局長(法務省)は「著作権使用料を支払わずに楽譜を使って演奏し著作権法違反になれば音楽教室の人達は組織的犯罪集団に当たる」と答弁しています。裁判の結審の前にこのような閣議決定を行った事は大いに警戒しなければなりません。




