■GPS捜査、令状なしは違法 最高裁大法廷初判断、「立法」異例の言及 警察庁、捜査自粛を通達
http://www.sankei.com/affairs/news/170315/afr1703150022-n1.html
産経新聞 2017.3.15 15:11
裁判所の令状なしに捜査対象者の車両に衛星利用測位システム(GPS)の発信器を取り付けた捜査の違法性が争われた連続窃盗事件の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は15日、「GPS捜査は強制捜査に当たる」との初判断を示し、令状なしに行われた捜査を違法と結論づけた。また、現行法上の令状で対応することには「疑義がある」として、GPS捜査のために「立法的な措置が講じられることが望ましい」と指摘した。
15裁判官全員一致の結論。刑事裁判で最高裁が立法措置に言及するのは極めて異例。警察庁はこれまでGPS捜査は令状の不要な任意捜査との立場だったが、同日、全国の警察に対しGPS捜査を控えるよう通達を出した。
大法廷は判決で「GPS捜査は行動を継続的、網羅的に把握するもので、個人のプライバシーを侵害しうる」と指摘。憲法が保障する「私的領域に侵入されることのない権利」を侵す強制捜査に当たり、「令状がなければ実施できない」と判断した。また、「公正担保の手段が確保されていない」などとして、現行法の定める令状で実施することに疑問を呈した。
令状なしのGPS捜査は「違法」最高裁の常識的な判断!
警察が裁判所の令状を取らずに捜査対象者の車などにGPS端末を取り付ける捜査の違法性を巡って最高裁大法廷は「違法」とする判決を下しました。この裁判は窃盗の罪に問われた被告の男性の上告審。警察は被告等の自動車など19台に令状なくGPS端末を取り付けて移動状況を確認していました。しかし、裁判所の令状を取らずに実行していた為にその違法性が問われていました。警察は2012年頃から窃盗事件で令状なしのGPS捜査を行っていたようです。
弁護側は「プライバシーが大きく侵害される強制捜査に当たるので令状なしで行ったのは違法だ」と主張、これに対して検察側は「尾行などを補助する手段で令状を取る必要がない任意捜査に当たる」と反論していました。最高裁判所大法廷の寺田逸郎裁判長は「GPS端末を使う捜査は本人の意思に反して私的な領域に侵入されないとする憲法が保障する重要な権利を侵害するもので強制捜査に当たる」と指摘、令状なしに行われた捜査を違法と結論付けています。
最近の司法にしては非常に珍しく「常識的な判断」を下しました。しかし、現行法上の運用に疑義を示して「憲法や刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられる事が望ましい」と指摘しています。GPS捜査に関する「新たな立法措置」に言及した点は要注意です。憲法やプライバシーの侵害にまったく配慮のない現政権下でこのような新法が非常に危険です。
ちなみに、件の事件に関して一審大阪地裁は、違法と判断して得られた証拠を排除する一方で別の証拠から有罪を言い渡しています。二審大阪高裁は「重大な違法はなかった」として控訴を棄却。最高裁は被告側の上告を棄却した事で有罪は確定しています。
■「現場分かってない」、九州の捜査関係者 令状なしGPS捜査「違法」に
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/314885
西日本新聞 2017年03月16日 06時00分
最高裁が、令状を取らずに捜査対象者の車両にGPS端末を取り付ける捜査手法を「違法」と判断した15日、九州の現役警察官やOBには「捜査への影響が大きい」と衝撃が広がった。ただ、一部からはプライバシーの問題点から判決内容を冷静に受け止める意見も聞かれた。
「裁判所は現場のことが何も分かっていない。捜査対象者の車はナンバープレートを次々変える。人間だけで追いかけるのは現実的じゃない」。元長崎県警幹部は驚きを隠さなかった。別の捜査関係者は「捜査対象者の行動確認をする上で、GPS捜査は有力な武器の一つだ。対象者の容疑が晴れる場合もある」と語った。
GPS捜査はプライバシーの侵害の指摘する声は多く専門家の間でも意見が割れていた問題です。この判決を受けて現役警察官やOBの間で「捜査への影響が大きい」と衝撃が広がっているようです。捜査関係者は「裁判所は現場の事が何も分かっていない」と語りました。警察の身勝手な意見には驚かされます。
警察は共謀罪を初めとして戦前の「特高警察」を彷彿とさせるフリーハンドの捜査権を欲しています。治安維持を理由にすれば何をしてもいい訳ではありません。私達一般国民は危機感を持って横暴な警察権力に目を光らせておく必要があります。
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