【政治】「共謀罪」再び浮上 テロ対策で谷垣氏言及 過去3度廃案
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015111802000117.html
[東京新聞 2015年11月18日 朝刊]
自民党の谷垣禎一幹事長は十七日の記者会見で、来年五月に三重県で開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けた国内テロ対策強化の一環で、犯罪を実行しなくても計画を話し合うだけで処罰対象にする「共謀罪」の新設を含む組織犯罪処罰法の改正の必要性に言及した。
谷垣氏は、パリ同時多発テロ事件を受け「来年、日本はサミットがある。テロ対策には相当、意を用いなければならない状況になった。いろいろ考えていかなければいけないことが出てくる」と指摘。記者から組織犯罪処罰法の改正は必要かと問われ「前からそう思っている」と述べた。これに先立ち、高村正彦副総裁は党役員連絡会で、二〇〇〇年にテロ対策強化を目指して国連が採択した「国際組織犯罪防止条約」の批准に向け、共謀罪のほか、テロ資金を断ち切る法制など国内法整備を急ぐよう訴えた。
政府側では、菅義偉(すがよしひで)官房長官が同日午後の記者会見で、共謀罪などの法制化を「条約締結に伴い、進めていく必要がある」と述べた。サミットに間に合わせるため、来年一月召集の通常国会への組織犯罪処罰法改正案の提出については「これまでの国会審議で不安や懸念が示されている。慎重に検討している」と消極姿勢を示した。同改正案の国会提出時期については、岩城光英法相も十月の内閣改造後の報道各社によるインタビューで「未定」と語っている。共謀罪の新設をめぐる同改正案は過去三回、国会に提出されたが、国民の強い反発を受け、いずれも廃案になっている。
◆テロ対策はこじつけ
<日弁連共謀罪法案対策本部副本部長の海渡雄一弁護士の話> 共謀罪は国際組織犯罪防止条約を批准するための制度として提案されたが、この条約はテロ対策とはまったく関係ない。共謀罪をテロ対策として提案することは、無理やりなこじつけといわざるを得ない。
国際組織犯罪防止条約の取り締まり対象は金銭的利益その他の物質的利益を得るためという経済目的の組織犯罪に限られていて、政治的・宗教的なものは含まれていない。マフィアなどによるマネーロンダリング(資金洗浄)対策が中心の条約だ。わが国では、組織犯罪集団に関連した主要犯罪は既に未遂以前の段階から処罰できる体制がほぼ整っているので共謀罪は必要ない。廃案になった政府案では六百以上の犯罪について非常に広範な犯罪が対象になっているが、仮に新設するにしても人身売買など一部の罪だけで十分だ。
自民党の高村副総裁は「資金源対策を含む国際条約ができているにもかかわらず、国内法が整備されていない」と発言したが、テロ資金の供与に関する法制度については、わが国は国連のテロ資金供与防止条約を批准し、国内法化しており、事実誤認ではないか。
サミット控え警備強化=「共謀罪」求める声も-安倍政権
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015111700827&g=pol
[時事通信 2015年11月17日 20時33分]
政府は、パリでの同時テロを受け、テロ対策を強化する考えだ。来年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、テロに関する情報収集体制の整備などを進める方針。自民党内からは、テロなどの謀議に加わっただけで実行に至らなくても処罰対象となる「共謀罪」の創設を求める声が上がっているが、曲折もありそうだ。
安倍晋三首相は17日午後、首相官邸で開いた国家安全保障会議で「国際社会と連携しながら、テロの未然防止に全力を尽くしてほしい」と述べ、国内外での日本人の安全確保に万全を期すよう指示した。
政府が9月にまとめた伊勢志摩サミットに関する警備体制の基本方針は、入国審査の厳格化や国内外での情報収集の増強が柱。これを踏まえ、岩城光英法相は17日の記者会見で、「全国の(入国管理局など)地方入国管理官署に対して、偽変造文書の鑑識強化など一層厳格な上陸審査の徹底を指示した」と述べ、水際対策に尽力する姿勢を強調した。
また、テロリストなどに関する情報の収集・分析体制の構築にも取り組む。政府は、過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件を受けて、省庁横断的に情報収集に当たるため外務省に「国際テロ情報収集ユニット」の新設を決めており、整備を急ぐ。具体的には内閣情報調査室や警察庁などの情報部門の担当者を、中東地域などの在外公館に重点的に配置することを検討している。
政府は来年開催の伊勢志摩サミットやその先の東京五輪を見据えて「テロに関する情報収集体制の整備」を進める方針を示しました。これに関連してフランスの同時多発テロに便乗した「共謀罪」が再び浮上。同法案は過去3回国会に提出されましたが日弁連や国民の強い反発を受けていずれも廃案になっています。安保法案に続いて国民の不安な感情を利用した悪法ゴリ押しの動きに要注意です。
※1氏に頂いた東京新聞の記事によれば谷垣禎一幹事長(自民党)は「組織的犯罪処罰法」の改正を検討する必要があると述べました。改正案に重大な犯罪の謀議に加わっただけで処罰対象となる「共謀罪」の創設を含める見通しだそうです。時間的に法案が提出されるとすれば来年の通常国会になると思いますが共謀罪は「単体で提出される可能性」と「別の法律に紛れ込ませて通される可能性」の2つを想定しておく必要があります。
遂に来ましたか
「自民党が想定している共謀罪は…何も犯罪行為をしていないのに「思想」に疑念を抱かれればパクられてしまう可能性もある…『現代の治安維持法』のような法律。また、犯罪の実行着手や準備行為がなくても成立する、という乱暴な内容で、従来の共謀共同正犯とは全くレベルが異なる。
テロに便乗して「共謀罪」言い出す 自民党はまるで火事場泥棒
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/169861
日刊ゲンダイ 2015年11月18日
2015-11-18(17:44) : 鵺 URL : 編集
共謀罪は諸外国から「日本も早く法律を制定しろ」と言われ続けています。秘密保護法や児童ポルノ禁止法もそうですが日本で法律を制定する場合、諸外国のそれとは異なり一回りも二回りも捻れた悪法になるケースは多々あります。菅義偉官房長官は意外な事に「慎重に検討するべき」と述べた模様。岩城光英法相は具体的な時期は「未定」と語っています。只、自民党内部は共謀罪制定を求める声が非常に多いので動き出すのは時間の問題と考えるべきです。
国際テロに関する情報収集やテロ資金を断ち切る法制に関して反対はしませんが「共謀罪」はそれとは別問題なので切り離して冷静に判断すべきです。これは「思想を取り締まる法律」で基本的人権を守る観点からは無視できない悪法です。しかし、安保法案と同じくネトウヨ層は言うまでも無く賛成、表現規制反対派は極一部の人が危険性に言及、(具体的な動きが無いので仕方ないですが)大手マスコミは現時点では詳しく報じていません。
自民党が提出した共謀罪の原案では「犯罪者と会話を含む接触があった人間を逮捕対処にする」と定めています。鵺氏の指摘するように従来の「共謀共同正犯」とは全く性質が異なります。警察による恣意的な運用は確実で逮捕範囲の不明瞭さなどは再三指摘されています。日弁連は反対してますし今も根強く反対している人は多いですが安保法案ほど大きな動きはありません。与党がその気になればあっという間に通される状況です。





