少女の裸体の「CG画像」は児童ポルノなのか? 注目の裁判が1年4カ月ぶりに再開
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[弁護士ドットコムニュース 2015年10月06日 18時50分]
50代の男性デザイナーがつくったCG画集が「児童ポルノ」にあたるとして、児童ポルノ禁止法違反(製造・提供)の罪に問われている事件の公判が10月6日、東京地裁(三上孝浩裁判長)であった。公判は1年4カ月ぶりに再開され、証拠調べと、捜査を担当した警察官の証人尋問が行われた。
裁判の最大の争点は、被告人男性の作ったCG画像が、違法な児童ポルノにあたるのかどうかだ。事件の争点・証拠整理をめぐって、検察側と弁護側の意見が合わず、2014年6月9日の第4回公判以降、非公開の話し合いが長く続いていた。
検察側の主張は、ひとことでいうと、「今回のCG画像は、児童ポルノである少女のヌード写真をもとにしてつくったもので、写真と同一視できるほど精緻なため、児童ポルノにあたる」というものだ。
一方、弁護側は「少女のヌード写真は作画の際に資料の一つとして参考にしただけ。被告人男性が作ったCG画像は、実在の児童の姿態を描写したものではなく、児童ポルノにはあたらない」などと主張している。山口貴士弁護士は「一つ一つのCGは、被告人が想像力を駆使して描いた絵画作品であり、『トレース』ではありません」としている。
●警察は押収したハードディスクを分析
検察側は6日の第5回公判で、今回のCGについて「少女から見れば写真と同じようなもの」「元の画像と差異がない」などとする首都大学東京の前田雅英教授(刑法)の意見書を提出した。また、被告人が今回利用したとする少女のヌード写真集を示し、モデル少女のプロフィールとして「小柄な12歳の女の子」などと記載されている点を指摘した。
また、証人として証言台に立った警察官は、被告人男性から押収したハードディスクの中に、被告人男性が作成したCG画集の素材(画像処理ソフトの作業用ファイル)を発見したと証言。さらに、その作業用ファイルの中に複数含まれるレイヤー(層)の一つとして、争点となっている少女のヌード写真が含まれていたと話した。
ただ、「作業用のファイルのレイヤー」に写真が含まれているからといって、その写真が完成品に直接反映されているとは限らない。弁護人の壇俊光弁護士によると、「被告人は直接使っていないと言っている」という。壇弁護士は証人尋問で「写真がそのまま利用された部分はあるのか」などと、警察官に問いただしていた。
●問題の「写真集」は80年代のもの
今回は「児童ポルノ」をめぐる事件だけあって、証拠物の取扱いは慎重に行われた。証拠提出された写真集を確認する際には、被告人と弁護人、検察官が弁護側席の一角に集まって、傍聴人に見えないような工夫がされていた。
なお、弁護人によると、今回問題となっている写真集は、1980年〜1988年ごろに発刊されたもの。そのため弁護側は、被告人男性がCG画集を制作した時点や、児童ポルノ禁止法が施行された1999年時点では、モデルたちが「児童」ではなかったという指摘もしている。
公判は翌7日、翌々日の8日と3日連続で開かれる予定。弁護人によると、年内に結審し、判決は来春の見込みだという。
いわゆる「CG児童ポルノ裁判」が1年4カ月ぶりに再開されました。昨年6月の公判以降非公開の手続が続いていたそうです。検察側は「少女のヌード写真を基に作ったもので写真と同一視できるほど精緻」を理由に児童ポルノ禁止法違反を主張しています。大手マスコミで取り上げられる事はほぼありませんがこの裁判は非常に重要です。判決次第では改正児童ポルノ禁止法でさらに広範囲な取り締まりが可能になってしまいます。
トレースしたか否か非常にややこしい話ではありますが争点は「実在児童の存在の有無」です。警察や検察は児童ポルノ禁止法の「保護法益」を理解していません。また「模写」と「何かを参考に想像で絵を描く」の違いが分かっていないもしくは確信犯的にこれを無視しています。さらに「供述調書にある作成経緯」で描くと問題の絵にならないらしく調書捏造の疑惑もあります。
CGは日々リアルに進化して現実と見分けがつかなくなっています。しかし、この裁判で被告人側が負けるという事は前田雅英の主張が正当化されてしまい「写実的な絵」を「本物っぽく見える」という理由で取り締まる事が可能になります。性的好奇心目的の所持罪を含めた改正児童ポルノ禁止法に深刻な影響を及ぼします。それ以前に精緻に作られてるとはいえ「創作物」を取り締まる事に時間を割いて「本来取り締まるべき児童ポルノ」が野放しになっては本末転倒ですしね・・・。




