児童ポルノ単純所持禁止に対して提示するべき条件
前回の更新から8ヶ月以上…。Twitterばかりやっていてこっちは完全放置でした…。
さて、5月29日に自民党、公明党、日本維新の会の3党の共同により、児ポ法の改定案(「改正案」とは言いたくない)が衆議院に提出されました。相変わらずの内容らしいです。
児童ポルノ禁止法改定案、衆院に提出 単純所持禁止、漫画・アニメの「調査研究」も(ITmedia ニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1305/29/news094.html
私としても、現実の子供に対する性的な(に限らないが)虐待や搾取はあってはならないと思いますし、「自分の性的虐待画像がネットを彷徨い続けるのが耐えられない」という被害者の言い分も理解できます。だから、私は児ポの単純所持禁止に必ずしも反対いたしません。
むしろ、強硬な反対は規制派にレッテル張りのチャンスを与えるようなものです。
しかし、児ポの単純所持禁止を認めるためにはクリアしてもらわなければならない条件が複数個あります。
「どれか1つクリアしてもらえればいい」のではなく、「すべてクリアしてもらわなければならない」のです。
以下、その条件を呈示いたします。
【優先度:特A】最優先かつ必要不可欠な条件
・創作物に規制の危険が確実に及ばないようにすること
自民党の改定案から漫画・アニメ・ゲーム・小説・イラスト・CGなどの創作物を規制する条項(調査・研究を含む)は削除し、できれば児ポ法に創作物は対象外であることを明記してもらわなければなりません。さもないと、「性的虐待・性的搾取を受けている子供を救い、ケアする」という児ポ法のあるべき目的から逸脱するだけでなく、我が国の文化の「警察官僚や宗教勢力の手による破滅」に王手がかかることになります。それは是非とも阻止したいことなのです。
【優先度:A】優先的かつ必要不可欠な条件
・「児童ポルノ」の呼称を「児童虐待成果物」に改め、取り締まり対象を「児童性虐待を伴う物」に限定すること
「児童『ポルノ』」という呼称はどうしても「猥褻さ」のほうを連想させてしまい、児童保護より風紀のほうに意識を向かわせてしまいがちです。風紀より児童保護の方に意識が向くように、「児童虐待成果物」などの「児童虐待」をはっきり示した呼称に改めるべきです。
・取り調べの可視化を実現すること
取り調べの可視化が行われていないせいで、警察は容疑者に対して拷問紛いの取り調べを行うことが可能となっております。具体例は痴漢冤罪の被害者の主張を見ていただければおわかりになるでしょう。その極めつけが「取調官の交代制による長時間の取り調べ」。単純所持を禁止するなら、取り調べの可視化くらいの安全は担保してもらわなければなりません。もっとも、警察は取り調べの可視化を認める代わりにおとり捜査を取引材料にするかも知れませんので、その辺については議論の余地があるでしょう。
【優先度:B】可能な限り満たすべき条件
・いわゆる「3号ポルノ」は単純所持禁止の対象から除外すること
本来なら、児ポ法そのものから「3号ポルノ」は削除してほしいですが、それができないならせめて単純所持禁止の範疇には「1号ポルノ」と「2号ポルノ」のみを入れ、「3号ポルノ」は除外してもらいたいところです。理由は「曖昧だから」に他なりません。警察に恣意的取り締まりや別件逮捕の手段を与えるようなものです。
・児童ポルノ禁止法の適用年齢上限を16歳未満とすること
中学を卒業したら就職できますし、女性の場合は16歳で結婚できます。そもそも、高校生と小学生や幼稚園児を同列で扱うことに問題があります。ゆえに、児童虐待成果物も児童買春も年齢上限は最高でも「16歳未満」にするべきであり、16歳以上は成人と同じ法律で保護するべきです。(性的同意年齢に準拠して「13歳未満」にしてもいいと考えることもできますが、議論が必要でしょう)少なくとも、年齢上限は児童虐待成果物と児童買春で定義を別々にするべきであり、定義を共通にするのは手抜きであると言わざるを得ません。
・年齢が16歳未満であることが証明できる物のみを対象にすること
さもないと、成人ポルノまで違法とされかねません。ただし、「未必の故意」については議論の余地があると思われます。
・児童ポルノ禁止法は「被害児童の保護とケアが目的であって、風紀の維持が目的ではない」ことを明記すること
規制派は勘違い、または勘違いしたふりをしていますが、児ポ法は個人法益の保護(被害児童の救済や名誉・心身の回復)が目的であり、社会法益の保護(倫理・道徳・風紀を守ること)が目的ではないのです。規制派に間違った主張をさせないためにも児ポ法が社会法益の保護が目的ではないことの明記は必須なのです。
・いきなり処罰せず、廃棄命令を出して児童虐待成果物を全部処分させる段階を設けること
そして、廃棄命令に従えば、処罰は行わないものとすること。ただし、廃棄命令時点でのマスコミによる実名公表は禁止とすること。これなら冤罪を未然に防ぐ可能性は高まります。
・虚偽通報罪を設けること
児童虐待成果物の単純所持の通報を受け付ける場合、通報者の身元を確認し、児童虐待成果物所持の事実がないのに通報した場合で、あまりにも悪質な場合(濡れ衣を着せる目的で通報した場合など)は罰則を設けること。そして、通報者の身元が確認できない場合(匿名の場合)は通報を受け付けないようにすること。ただし、虚偽通報罪の設置については、慎重な議論が必要と思われます。
・児童ポルノ禁止法の所轄官庁を警察庁から厚生労働省に移管すること
これは、理由はズバリ「児童虐待成果物の取り締まり目的を『取り締まりそのもの』や『ノルマを稼ぐ』ことから『被害児童をケアすること』に変えるため」です。実際に、警察も自民党議員の多くも取り締まったらそれで終わり、被害児童のケアはほとんど眼中にありません。本来、「被害児童のケア」が最優先であるべきであり、警察は児ポ法を担当するには相応しくないのです。
【優先度:C】できれば満たしたほうがいい条件
・確実に児童虐待成果物であることを知っていて所持している場合以外は除外すること
仮に、被写体が16歳未満であることが証明できても、所持者が必ずしもそれを知っているとは限りません。なので、所持者が被写体が16歳未満であることを知っていながら所持しているのでなければ、児ポ法の適用の対象外とするべきです。
・「故意による所持」が証明できない場合は取り締まれないようにすること
さらに、所持者が被写体が16歳未満であることを知っていながら所持していても、それを証明できる証拠がなければ取り締まれないようにするべきです。甘いと言われるかも知れませんが、すべて冤罪とでっち上げを防ぐためです。
・児童ポルノ禁止法施行(1999年11月)以降に公的に出版された物は除外すること
それまで合法だったものがある日いきなり違法になるのはどう考えてもおかしいし、廃棄しようにもどこにあるかわからない場合もあります。
・性的欲求を満たす目的以外での所持は除外すること
詳しくいえば、研究目的や児童虐待を考える上での参考資料などや家族写真のことです。さもないと、児童虐待の研究や児童虐待に関する本を書くことすら許されないことになり、それは「子供のため」という観点に立てば、却ってマイナスです。また、家族写真は児童に対する性的虐待の事実がなければ児童虐待成果物として扱うべきではありません。
・特定の者や団体を議論・審議の場から除外すること
ここでいう「特定の者や団体」とは、エクパット東京(キリスト教矯風会)や日本ユニセフ協会やAPP研などやその関係者、および警察官僚や元警察官僚(竹花豊・後藤啓二・倉田潤・櫻井美香など)などの「思想的に偏った者や団体または利権が絡む者や団体」のことです。政治・行政・司法は思想的に中立でなければならないからです。
・児童ポルノ禁止法の「3年ごとの見直し規定」を廃止すること
必要がある場合に政党として存在するすべての党(社民党や共産党も含む)の合意があってはじめて改定できるようにするべきです。この条項がある限り、3年ごとに改悪の危険性が発生します。
以上を各方面に陳情や質問をされるときの参考にしていただけると幸いです。(コピペは厳に慎んでください)
くれぐれも、向こうに失礼のないようにお願いいたします。手紙がベストです。FAXは向こうから指定してこない限り厳に慎んでください。
6/6 大幅に修正いたしました。
・現行法は十分に機能している新たな罰則は設けず「現行法の罰則を引き上げ」て対応すること
http://otakurevolution.blog17.fc2.com/blog-entry-2495.htmlで言われてる様に現行法で十分に取り締まる事は可能です。毎年「摘発件数」が過去最高になるのはその証拠です。被害児童の救済を第一に考えれば新たな罰則を設ける事より先にやるべき事があります。法改正の問題点に加えて「現行法で十分」というアピールは繰り返して行ってください。そうする事で多少は政界の空気が変わる筈です。
・おとり捜査を禁止にすること
この法律の目的はあくまで「被害児童の人権保護」です。被害者の人権を利用した「おとり捜査」は禁止にすべきです。警察は日常的に非人道的な捜査をやってるので違反した場合は罰則規定を設ける事も必要です。
・創作物の過激な表現は「刑法174条」及び「175条」で摘発可能な事をアピールすること
これは「自公議員限定」で御願いします。児童ポルノに類する表現か否かに関係なく「猥褻表現」はすでに規制されています。児ポ法に限らず新たな規制は不要。本当に過激な表現が野放しになっているならば規制派の言う様な現状が事実だとすれば摘発すれば済む話なのです。すでに「松文館裁判」や「コアマガジン社摘発事件」等の具体例は幾らでもあります。
・擬似児童ポルノ=三次元=AVの規制は「人権侵害」である事をアピールすること
二次元規制ばかりに注目されがちですが自公維改正案は「ポルノ=AV」を規制にも触れています。全文を見れば「外見上児童の姿態であると認められる児童以外を者の姿態を描写した写真等であって児童ポルノに類するもの~」はっきりと書かれています。要するに「容姿や声帯で差別する」という事なのでこれは重大な人権侵害です。女性の人権や労働という問題はありますが少なくとも被害児童は存在しないので忘れずに反対すべきです。
・アドレスのみで逮捕は出来ない様にすること
すでに「アドレス」だけで「画像を公然と陳列する行為にあたる」とする判例があります。
他人が陳列していた児童ポルノ画像のurlを一部改変して掲載したら、児童ポルノ公然陳列罪の正犯(大阪高裁H21.10.23)
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20091023#1256289948
児童ポルノサイトのアドレスを掲示板に書き込んでリンクを張った。あるいは既に裁判で有罪になっている例ならアドレスを書いただけで「公然陳列」になるのだとすれば、児童ポルノサイトのアドレスを持っている(テキストなどに保存)だけで児童ポルノを所持していると解釈できます。
あまりに無茶苦茶だと思われるでしょうが「リンクをクリックするだけで児童ポルノ画像に飛べるのだから公然陳列になる」との理屈で有罪になったケースがあるので、アドレスを持っている事で「児童ポルノ所持」と判断されても不思議ではありません。画面に表示させただけで「履歴」に残ってしまうので十分にあり得る話です。
・「ストリーミング」や「キャッシュ」は対象外にすること
ストリーミングとダウンロードは技術的に大差がありません。ストリーミングサイトはキャッシュでダウンロードしています。キャッシュの入ったファイルをハードディスクの別の場所に移動すれば「所持」と判断される可能性があります。
PCの仕組みとして、例え「サムネイル」だけでも「表示」させた時点でキャッシュに保存されてしまいます。ハードディスク=有体物に保存されていれば所持に該当するからです。
#1 : Blog移転の挨拶に代えて
http://bemix.exblog.jp/16230907/
#3 : 若い人の政治への関わりについて
http://bemix.exblog.jp/18027441/
#4 : 政治家などへの手紙の書き方
http://bemix.exblog.jp/18027458/
#5 : 規制反対派の皆さんに心得ていただきたいこと
http://bemix.exblog.jp/18081688/
BeMIX氏の記事。御浚いの意味で必読です。反対活動の基本が書かれています。基本を無視して意見するのは逆効果になりかねません。
さて。上段の記事の使い方を簡単に書いておきます。まず「コピペ」はNGです。上手く「自分の言葉」してください。そしてこの記事の素晴らしい所は妥協案でなくあくまで「対案」になっている事です。絶望的な状況なので妥協を主張する人が多いですが無駄なので止めた方が無難です。必要なのは「対案」と「全否定」の併用です。常に「攻めの姿勢」が大切なのです。
個人的に全て「優先度:特A」な気がしますが・・・。BeMIX氏の仰る通りで「すべてクリアしてもらわなければならない」ものばかりです。ひとつでもクリアできなければ単なる悪法になってしまいます。自公の規制派はこうした問題点を承知の上でやろうとしてるので説得は非常に難しいです。しかし一時期に比べて最前線でロビイングを行ってくれる団体が増えました。今回で全て決着する訳ではないのでまだまだ希望はあります。
理想としては赤松健氏が自由に動ける内に一定の目処を付ける事です。自民党と出版業界のパイプが切れてしまえば赤松氏の努力が無駄になってしまうかもしれません。その前に畳み掛けたいので意見は早めに御願いします。
■児ポ法改悪に反対するための資料集
http://otakurevolution.blog17.fc2.com/blog-category-21.html
規制派に唯一勝ってるのは嘘が無いことです。今までの知識を総動員してください。事実は数字は全て反対派の味方です。資料も合わせて我々の方が正しい事をアピールしてください。皆様の時間の許す限りで繰り返し攻めてください。因みに上段の記事をべースにすれば陳情書が4~5種類は作れます。




