
※画像出典:北海道新聞 どうしん電子版
■道警の排除は表現の自由を侵害と札幌地裁
https://nordot.app/879915621755011072?c=39550187727945729
共同通信 2022/3/25 11:29 (JST) 3/25 11:47 (JST) updated
安倍元首相の街頭演説中にやじをとばし、北海道警に排除された男女2人が道に損害賠償を求めた訴訟で、賠償を一部命じた札幌地裁は、警察官らの排除行為は原告らの表現の自由を侵害したと指摘した。
■参院選街頭演説ヤジ訴訟 北海道警側に賠償命令 札幌地裁
https://mainichi.jp/articles/20220325/k00/00m/040/006000c
毎日新聞 2022/3/25 11:15 (最終更新 3/25 19:13)
道警側は、2人と聴衆との間でトラブルや犯罪に発展する危険性があり「未然に防いだ」と主張。生命や身体に危険が及び、急を要する場合に市民の行為を制止できるとする警察官職務執行法などを根拠に正当性を訴えていた。これに対し原告側は、政権を批判する発言に着目した排除行為で「政治的表現の自由を侵害された」と主張していた。
広瀬裁判長は現場の状況などから「差し迫った危険性はなかった」として道警側の主張を退け、表現の自由の侵害を認定した。【高橋由衣】
■社説:演説中ヤジ排除「違法」警察の言論制限を戒めた
https://mainichi.jp/articles/20220329/ddm/005/070/117000c
毎日新聞 東京朝刊 2022/3/29
安倍氏は5年前、東京・秋葉原で東京都議選の街頭演説をした際に、「安倍辞めろ」などとヤジを飛ばした聴衆の方を指さし、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言している。
この頃から、安倍氏の支持者らが周りを取り囲み、批判する人たちは遠ざけられる状況が目に付くようになった。さまざまな主張や意見が尊重される「表現の自由」は、民主政治の根幹である。異論が封じられ、人々が萎縮して声を上げにくい社会にしてはならない。
札幌地方裁判所の良識的な判決は高評価!
2022年03月25日(金)。参議院選挙の期間中に安倍晋三首相(当時)の街頭演説にヤジを飛ばして北海道警の警察官に拘束・排除された男女2人が計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決、札幌地方裁判所は警察官の行為の大半を違憲と判断、原告側の訴えを認めて計88万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
札幌地方裁判所の廣瀬孝裁判長は「被告側は『当時、生命や身体に危険を及ぼすおそれのある危険な事態にあったとか犯罪がまさに行われようとしていた』などと主張するがそれは認められない」「警察官らの行為は違法で原告らの『表現の自由』が侵害された」と指摘しています。
ヤジを「公共的・政治的事項に関する表現行為」に位置付けた上で、警察官の行為を「憲法21条」で保障された「表現の自由」の侵害に該当する判断したのは非常に大きな意味を持ちます。
事の経緯!
2019年7月の参議院選挙の期間中に札幌市で行われた安倍晋三氏の街頭演説、警備をしていた北海道警の警察官は「安倍やめろ」「増税反対」とヤジを飛ばした聴衆の身体を拘束、半ば強制的に場所を移動させました。
拘束・排除された男女2人は「憲法で保障された表現の自由を侵害された」「精神的苦痛を負った」として北海道に計660万円の損害賠償を求める訴訟を起しました。争点は「警察官職務執行法」の適用要件です。
原告側は「政治批判の声を政府の最高責任者にぶつける稀な機会を違法に奪われた」と主張しています。当時、北海道警に「選挙の自由を妨害してはいけない」と説明されたことを明かしました。この内1人は1時間近くに亘って付き纏われるなど警察官の行動は常軌を逸しています。
■演説やじ排除訴訟、道が控訴 一審は88万円賠償命令
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040100603&g=soc
時事ドットコム 2022年04月01日 12時14分
2019年参院選での安倍晋三元首相の応援演説にやじを飛ばした札幌市民2人が、北海道警の警察官に排除されて精神的苦痛を負ったなどとして、道に損害賠償を求めた訴訟で、道は1日、計88万円の支払いを命じた札幌地裁判決を不服として、札幌高裁に控訴した。
北海道警の控訴は無理筋?
2022年04月01日(金)。北海道警察本部監察官室は「控訴審で当方の考えを主張する」と談話を発表、第一審の判決を不服として札幌高等裁判所に控訴しました。拘束・排除は適切な行為だった認識しているか否かについては「係争中なのでコメントできない」と述べています。
これに対して、原告側は「鈴木直道知事が表現の自由の価値を信じるのであれば控訴を取り下げるべきだ」と抗議声明を発表しました。控訴そのものは権利です。しかし、常識的に考えれば正当性は原告側にあります。
HBCテレビ『ヤジと民主主義~小さな自由が排除された先に~』!
過去の最高裁判例等を見れば「演説に支障をきたさない程度のヤジ」は公職選挙法上の自由妨害罪には該当しません。ポイントは「表現の自由との兼ね合い」「北海道警の警備の正当性」「ヤジと表現の自由の関連に言及するか否か?」で注目度の高い裁判です。
安倍晋三氏の街頭演説を巡っては、今回の件以外に同様の事例や被害者の報告もあるのでこの裁判は色々な意味で波紋を呼びそうです。一方で、ヤジは選挙妨害に原則的に違法性を孕んだ行為です。
第一審の判決はあくまで「少人数に対する警察による拘束・排除は違憲」です。拡声器を使ったり演説をかき消すような大人数で囲むのは公職選挙法(演説妨害)を問われかねません。この点は要注意です。それだけに少人数の肉声でのヤジを拘束・排除した今回の件は異常なのです。





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