
※画像出典:共同通信
2023年02月24日(金)。性犯罪に関する刑法改正について法務省は、現行の強制性交等罪の名称を「不同意性交罪」に改める方針を「自民党法務部会」に示しました。岸田政権は3月中旬に閣議決定した上で今国会での成立を目指します。
※本件に関しては本記事で追記・加筆・修正もしくは定期的に別の記事でその都度お伝えします。
目次
▶罪名変更の経緯!
▶不同意性交罪(仮)について!
▶撮影罪は将来的なリスクを踏まえて意見を!
▶性的グルーミング罪は一部修正を!
▶性交同意年齢の引き上げは「憲法違反」で反対必須!
▶性交同意年齢の形骸化と「内心の自由」の侵害について!
▶【再掲】推進派の思想的な背景について!
▶【再掲】人権重視の諸姉諸兄は反対の声を!
▶管理人後記(意見送り先)!
■「不同意性交罪」に変更、法務省 刑法改正案、被害者側要望踏まえ
https://nordot.app/1001665888318324736?c=39550187727945729
共同通信 2023/02/24
性犯罪規定を見直す刑法改正案に関し、法務省は24日、現行の強制性交罪の名称を「不同意性交罪」に改める方針を、自民党法務部会で示した。政府は3月中旬にも閣議決定し、今国会での成立を目指す。処罰要件の改正のほか「性交同意年齢」の引き上げも盛り込む。被害者団体などが「同意のない性行為が処罰されるべきだというメッセージが社会全体で共有されるような名前を」と求め、不同意性交罪への変更を要望していた。
罪名変更の経緯!
被害者団体などを中心に「『同意のない性行為は処罰されるべきだ』というメッセージを社会全体で共有されるような名称」に変更を求めていました。これを受けて、改正案では「強制・準強制性交罪」「強制・準強制わいせつ罪」をそれぞれ統合、罪名を「不同意性交罪」「不同意わいせつ罪」に変更します。
ブログ更新の時点で「構成要件」に変更はありません。試案で示された「8項目」の「行為・事由」を前提に「同意しない意思」の「形成」「表明」「全う」を困難な状態にして性的な行為をした場合は処罰対象になります。
性犯罪に関する刑法改正はこの他に「性交同意年齢の引き上げ」などを盛り込んだ内容です。以下はこれまで公開した記事やツイートを最新の情報を踏まえて再編集した上で問題点をまとめたものです。共謀罪やAV新法を超えた悪法で「憲法違反」のオンパレードなので反対の声を上げて欲しいです。
不同意性交罪(仮)について!
本記事では「不同意性交罪(仮)」と表記します。構成要件の「8項目」の「行為・事由」は以下の通りです。
(1)暴行・脅迫を用いること
(2)心身に障害を生じさせること
(3)アルコール又は薬物を接種させること
(4)睡眠その他の意識が明確でない状態にすること
(5)拒絶する暇を与えないこと
(6)予想と異なる事態に直面させて「恐怖」又は「驚愕」させること
(7)虐待に起因する心理的反応を生じさせること、
(8)経済的又は社会的関係上の地位に基く影響力によって受ける不利益を憂慮させること
(1)(4)は基本的に「被害」と呼べる行為・事由なので概問題はありません。しかし、心に対する障害を客観的に知る方法は?。拒絶の暇は何を基準に判断する?。予想と異なる事態は受け手の内心の問題では?。心理的反応の線引きは?。(2)(5)(6)(7)は「恣意的な解釈」もしくは「被害者の内心」又は「その両方」で運用される危険性を孕んでいます。
(3)の「アルコール又は薬物を接種させること」は後者は論外として「お互いに酔った勢いで」のよくあるシチュエーションです。完全に素面の状態でなければ(4)と合せて後付けでレイプ認定し放題になります。
(8)の「経済的又は社会的関係上の地位に基く影響力によって受ける不利益を憂慮させること」は極めて危険です。
不同意性交に関しては夫婦間でのイチャラブセックスであれ「セックスを断ったら離婚され稼ぎの少ない/無い私は路頭に迷う事になると思うと本当は嫌でもノリノリになるしか無かった/自分から誘わされた」的な形で、強制されたと主張する事が可能になるし、実際北欧ではそのような強姦事件が相次いでる
— rei@サブアカウント (@Shanice79540635) February 25, 2023
先輩・後輩や上司・部下でカップルや夫婦になるのは一般的によくあるパターンです。しかし「収入差など」で「対等でない場合」は普通にあります。言い換えれば「完全に対等な関係」なんてものはあり得ません。環境の変化などで「不利益を憂慮させる状況」は幾らでも後付けできます。
不同意性交罪(仮)は「被害者の内心の不同意」だけを要件にはしていません。しかし、異常に広範囲で非現実的な構成要件や罪名の教育効果を踏まえれば警察での運用や司法の判断で実質的に「被害者の内心の不同意」で処罰されるケースは間違いなく発生します。
刑罰の基準を「客観的な証拠」ではなく被害者や代理人(弁護士など)の「主張」に変えることは間違いないのでほぼ確実に「法の支配」や「『疑わしきは被告人の利益に』の原則」は破壊されます。人治主義への転換です。
推進派(特に活動家)の反応を見ればこの点は断言できます。警察や司法の場において「性犯罪・性暴力」に関する法律はほぼ「言ったもの勝ち」で運用されることを彼等はよく知っている筈なのでそれを踏まえての反応です。
性交渉は基本的に「密室」で行われる行為です。これを罰する刑罰法規で曖昧な条文は許されません。完全に「明確性の原則(憲法31条)」に違反しています。
撮影罪は将来的なリスクを踏まえて意見を!
現時点で「撮影罪」の構成要件は不明です。例えば更衣室やトイレなどを意図的に盗撮した場合に限定すれば処罰化は概賛成です。しかし、ハラスメントや不倫の証拠収集など正当な撮影行為まで規制されかねない点は気になります。
捜査当局は簡単にスマートフォン等を調べられるようになるので構成要件を相当絞り込まなければ現場のさじ加減でそのまま逮捕になりかねません。また「プライバシー権」の兼ね合いは懸念されます。スマートフォン等の普及率を考えれば構成要件は徹底的に絞るべきです。
また「提供」を処罰可能にするのは反対しなければ危険です。提供を規制すれば将来的に「所持罪」まで進みかねません。これはリベンジポルノも同様です。電子情報の所持禁止。危険度は児童ポルノの比ではありません。非常に危険です。
更に「創作物(フィクション)」への影響は気になります。適正AVは言うに及ばず「インディーズメーカー」や「同人」の「盗撮モノ」まで潰されかねません。推進派の顔触れや盗撮は現時点で既に処罰対象なのに新たな法律を作る意味を考えれば十分にあり得る展開です。
性的グルーミング罪は一部修正を!
性的グルーミング罪に関しては概賛成です。しかし「対象年齢16歳」は高過ぎです。また「手懐ける」では曖昧過ぎます。行き過ぎた声掛け禁止のようになって冤罪を量産する結果になります。対象年齢は刑事責任能力に合せて対象年齢は「14歳」に設定するべきです。
性交同意年齢の引き上げは「憲法違反」で反対必須!
性交同意年齢は現行の13歳を「16歳」に引き上げます。一方で、低年齢同士の性交渉を除外する為に「該当13歳以上16歳未満の者」を対象にした性交渉は「年齢差プラス5歳以上」で一律に処罰対象にします。
性犯罪に関する刑法改正の最大の問題点はこれです。日本は既に、
・成人年齢の引き下げ
・結婚可能年齢の引き上げ
・児童福祉法
・淫行条例(青少年保護育成条例)
によって「婚前交渉禁止」に極めて近い異常な国です。筋論で言えば本来は性交同意年齢の「引き下げ議論」だってあって然るべきです。
また、この例外規定を文面通りに解釈すれば、
・15歳と20歳はセーフ
・15歳と21歳はアウト
になります。後者のケースで懲役5年を課すことに「必要性・合理性・相当性はあるのか?」は大いに疑問です。
更に、
・保護法益
・基本的人権の享有主体
・例外規定による内心の自由の侵害
・刑事責任能力との整合性
・16歳の客観的な根拠
・5歳差の客観的な根拠
を踏まえて総合的に判断すれば性交同意年齢の引き上げは間違いなく「基本的人権の不当な制限」で「憲法違反」です。
性交同意年齢の形骸化と「内心の自由」の侵害について!
特に日本版「ロミオとジュリエット条項」で「内心の自由」にまで踏み込んだ点は由々しき事態です。グルーミングの処罰化を含めて「16歳」に異常に固執している点は思想的な認知バイアスを感じます。
性交同意年齢は本来「例外を認めない為に設定」したものなのに「低年齢同士はOK」にした時点で法律の趣旨は180度変ってしまいました。意思決定や判断能力の脆弱さ性交渉に関する知識の乏しさを理由に引き上げを求めているのにこれでは矛盾しています。
【再掲】推進派の思想的な背景について!
性交同意年齢の引き上げや不同意性交罪は、児童ポルノ禁止法の制定~所持罪の導入、旧統一教会の純潔キャンペーン、第4波フェミニズムの台頭、2010年以降の左派主導のキャンセル・カルチャー、国連・子どもの権利委員会の勧告などの外圧、AV新法、推進派の思想的な背景はほぼ同じで地続きの問題です。
【再掲】人権重視の諸姉諸兄は反対の声を!
法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」では比較的まともに議論していただけに「刑事法部会」に移って一気にトチ狂った印象です。法務全般を司る官庁なのに機能不全と言えるレベルです。
個々人の「基本的人権」を大幅に制限する以上、相当の立法事実を要求されるのは当然です。しかし、推進派の歪んだ道徳観や感情論で「社会法益保護法」の方向で議論されている感は否めません。基本的人権を「年齢」で制限するのは極めて危険な発想です。
これは「基本的人権」「立憲主義」「法治主義」の危機です。立憲主義・法治主義を重視する諸姉諸兄は綺麗事抜きで本気で「反対」の声を上げて欲しいです。特に表現の自由界隈やAV新法で表現規制に関心を持った方達は絶対に妥協はNGです。ここで引けば終りです。完全に詰みます。
■関連記事:【違憲濃厚】性犯罪に関する刑法改正!刑事法部会「試案」の改訂版を提示!文言変更で事実上の「不同意性交罪」を導入!性交同意年齢の引き上げは更に改悪!法務省は機能不全に?
http://constitutionalism.jp/blog-entry-4230.html
■関連記事:【法務省崩壊】性犯罪に関する刑法改正!法制審議会「試案」示す!暴行・脅迫要件を見直し!公訴時効は「5年」延長!性交同意年齢は「16歳」に引き上げ!問題山積で反対必須の悪法に!
http://constitutionalism.jp/blog-entry-4210.html
■関連記事:【稀代の悪法】性交渉の原則違法化!不同意性交罪に現実味?日本学術会議「国際的な人権基準を反映した法改正を」!同意の有無を中核に置く刑法改正に向けて提言!
http://constitutionalism.jp/blog-entry-4000.html
管理人後記(意見送り先)!
現時点で評価できるのは「公訴時効の延長」です。撤廃は論外ではあるものの5年延長は概現実的です。それ以外はほぼ修正必須です。ここまでの「悪法」は過去前例はありません。常識的に考えれば憲法や罪刑法定主義(明確性の原則など)に違反するのは確実です。
■斉藤健法務相(お問い合せフォーム)
https://www.saito-ken.jp/apply/inquiry.html
国会事務所
〒100-8981 東京都千代田区永田町2-2-1 衆議院第一議員会館822号室
TEL:03-3508-7221 FAX:03-3508-3221
■衆議院:法務委員会委員名簿 令和5年1月20日現在
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_iinkai.nsf/html/iinkai/iin_j0030.htm
■参議院:法務委員会委員名簿 令和5年2月28日現在
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/konkokkai/current/list/l0065.htm
法務相の諮問機関「法制審議会」の井田良会長(中央大大学院教授)は2月17日(金)に性犯罪に関する刑法改正の要綱を斎藤健法務相に答申しました。与野党共に「純潔カルト」に汚染されている危機的状況です。閣議決定される前に「法務相」と「法務委員会」に意見を送って軌道修正しなければ手遅れになってしまいます。





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