
※画像出典:モシナラ:もしも~ならを極めるサイト
ロシア・ウクライナ情勢に関連して「核共有(ニュークリア・シェアリング)」「非核三原則の見直し」「憲法改正」を求める動きについてまとめました。今夏の参議院選挙の大きな争点は間違いなく「国防」です。特に立憲野党(立共社れ)は存在意義を問われる戦いになり得ます。
目次
▶右派強硬派「世論扇動」を開始!
▶安倍晋三元首相「核共有」の必要性を強調!
▶岸田政権は慎重姿勢?
▶橋下徹氏「(非核三原則の見直しを)今夏の参議院選挙で争点にするべきだ」!
▶安倍晋三元首相「核共有」の必要性を再び強調!
▶高市早苗氏「有事の際には例外を認めるべきだ」!
▶世論は「国防」重視に?
▶核共有(ニュークリア・シェアリング)について!
論ずべきは、憲法9条があれば日本はウクライナのように他国から攻められることはないのかということ。残念ながら答えはノーだ。わが国を守るのは自衛力と同盟、そして同志国の存在。志位委員長のロジックでは他国のための憲法9条になってしまう。 https://t.co/h6n7ME2bD7
— 細野豪志 (@hosono_54) February 24, 2022
全然違います。「ウクライナに憲法9条があったら戦争を止められたか?」はなぜ考えないのか。普段「戦争反対」の一言であらゆる安保の努力に反対する共産党は、今こそ戦争反対を叫ぶべき。国際社会としてなぜこの事態を止められなかったのか。今後起こり得る我が国の有事はどうしたら止められるのか。 https://t.co/c0GIu8ow0P
— 青柳仁士 衆議院議員<維新> (@aoyagi_h) February 24, 2022
右派強硬派「世論扇動」を開始!
2022年02月24日(木)。自民党の細野豪志氏、日本維新の会の青柳仁士氏は自身のTwitterで「憲法9条」の改正に言及、日本共産党の志位和夫氏に反論した形です。ロシアのウクライナ侵攻に便乗して右派系のアカウントは世論の扇動を開始、インターネット上は賛否両論飛び交っています。
■核の共有、議論必要「タブー視してはならぬ」―安倍元首相
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022700304&g=pol
時事ドットコム 2022年02月27日 11時26分
自民党の安倍晋三元首相は27日のフジテレビ番組で、米国の核兵器受け入れ国が使用に際して意思決定に加わるニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)に言及し、「非核三原則はあるが、この世界はどのように安全が守られているかという現実について、議論していくことをタブー視してはならない」と述べた。
安倍晋三元首相「核共有」の必要性を強調!
2022年02月27日(日)。フジテレビの番組「日曜報道 THE PRIME」に出演した自民党の安倍晋三元首相は「核共有(ニュークリア・シェアリング)」について「この世界はどのように安全が守られているかという現実について議論していく事をタブー視してはならない」と議論の必要性を提起しました。
北大西洋条約機構(NATO)に加盟するベルギーやドイツなどは米国の核兵器を共同運用している事に触れた上で「様々な選択肢を視野に入れ議論すべきだ」と強調しました。一方で、日本の核拡散防止条約(NPT)の加盟や非核三原則については堅持する前提で「被爆国として核廃絶目標は掲げなければいけない」とコメントしています。
■岸田首相、核共有は「認められない」安倍元首相がテレビで言及
https://mainichi.jp/articles/20220228/k00/00m/010/080000c
毎日新聞 2022/2/28 12:39(最終更新 2/28 17:08)
岸田文雄首相は28日の参院予算委員会で、米国が日本に配備した核兵器を日米が共同運用する「核共有」政策の導入について、「非核三原則堅持という我が国の立場から考えて認められない」と否定した。核共有を巡っては、安倍晋三元首相が27日のフジテレビの番組で「この世界はどう安全が守られているのかという現実の議論をタブー視してはならない」と述べ、導入の是非を議論すべきだという考えを示していた。
岸田政権は慎重姿勢?
2022年02月28日(月)。参議院予算委員会。岸田文雄首相は核共有について「非核三原則を堅持する我が国の立場から認められない」と述べました。立憲民主党の田島麻衣子氏への答弁です。現時点では世論の動向を見極めている印象です。
■維新「核共有」議論提言 三原則見直しは削除
https://nordot.app/871957033778266112?c=39550187727945729
共同通信 2022/3/3 12:25 (JST) 3/3 12:43 (JST) updated
日本維新の会の藤田文武幹事長は3日、外務省を訪れ、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた緊急提言を提出した。国内に米国の核兵器を配備し共同運用する「核共有」政策の議論を開始するよう要請。当初の提言案では、非核三原則の見直しに言及していたが、削除した。
橋下徹氏「(非核三原則の見直しを)今夏の参議院選挙で争点にするべきだ」!
2022年03月03日(木)。外務省を訪れた日本維新の会の藤田文武幹事長はロシア・ウクライナ情勢を受けて緊急提言を提出、核共有の議論を開始するように要請しました。尚、当初の提言案では「非核三原則の見直し」を示唆していたものの批判を受けて削除しています。
これに前後して、同党の松井一郎代表は記者会見で「非核三原則は戦後80年弱の価値観だが核を持っている国が戦争を仕掛けている」「昭和の価値観のまま令和も行くのか」「米国の原子力潜水艦をリースしてもらうというような議論もすべきだ」と述べました。
また、弁護士の橋下徹氏は前述の「日曜報道 THE PRIME」に出演した際に「核は絶対に使ってはいけないが核共有の議論は絶対に必要だ」と安倍晋三元首相に同調しました。非核三原則については「持ち込ませず」の見直しを求めた上で「今夏の参議院選挙で争点にするべきだ」と主張しています。
■安倍氏「空想にとどまり思考停止」志位氏発言を批判
https://www.sankei.com/article/20220303-2VHVF35R2NJWHDGMVELSD74BBI/
産経新聞 2022/3/3 13:59
自民党の安倍晋三元首相は3日の安倍派(清和政策研究会)の会合で、ロシアのウクライナ侵攻をめぐり共産党の志位和夫委員長が「仮にプーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が憲法9条だ」とツイッターに投稿したことに関し「空想にとどまっていて思考停止だ」と批判した。
安倍晋三元首相「核共有」の必要性を再び強調!
2022年03月03日(木)。自民党の安倍晋三元首相は派閥の会合で「核共有」について「NATOに加盟している複数の国で実施されている」と述べた上で「ウクライナがNATOに入る事ができていればロシアによる侵攻はおそらくなかっただろう」と指摘しました。
また「我が国は米国の核の傘の下にあるがいざという時の手順は議論されていない」「非核三原則を基本的な方針とした歴史の重さを十分噛みしめながら国民や日本の独立をどう守り抜いていくのか現実を直視しながら議論していかなければならない」と強調しています。
更に「仮にプーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条なのです」と投稿した日本共産党の志位和夫氏について「志位氏が言っている事は空想の世界だ」「空想に留まって思考停止なのかと感じる」と批判しています。
■高市早苗氏、有事の時の核持ち込み「自民党内で私は議論したい」
https://www.asahi.com/articles/ASQ364D6LQ36UTFK002.html
朝日新聞デジタル 楢崎貴司 2022年3月6日 13時34分
自民党の高市早苗政調会長は6日のフジテレビの報道番組で、非核三原則の見直しについて、「有事のときに『持ち込ませず』については、自民党内でも私は議論したい」と述べた。
■「持ち込ませず」有事は例外容認 高市自民政調会長
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022030201255&g=pol
時事ドットコム 2022年03月02日 19時37分
自民党の高市早苗政調会長は2日の記者会見で、非核三原則の「持ち込ませず」について、「有事に核を搭載した米国艦船の領海通航もだめでは日本を守れないのではないか」と述べ、例外は認められるとの見解を示した。過去の政府答弁に沿った考え方だとも強調した。
高市早苗氏「有事の際には例外を認めるべきだ」!
2022年03月06日(日)。フジテレビの番組「日曜報道 THE PRIME」に出演した自民党の高市早苗政調会長は「非核三原則」の内、核兵器を「持ち込ませず」の原則について「自民党内で議論したい」と認識を示しました。
緊急時に核兵器を搭載した米国の艦船や航空機の「寄港」「給油」「領海(領空)通過」を拒否した場合に関して「核抑止力は機能しない」「有事の際には例外を認めるべきだ」と述べています。
政府の外交・安全保障政策の長期指針「国家安全保障戦略」の改定に関しては「議論にタブーがあってはいけない」「確実に日本の力で日本を守れる態勢をつくっておかなければ国民の命は守れない」とコメントしました。自身のTwitterで同様の投稿をするなど積極的な姿勢を見せています。
これに関連して、NHKの番組に出演した同党の世耕弘成参議院幹事長は「政府はやらなくとも自民党を含めて議論は行う必要がある」と発言しました。参議院選挙を前に慎重姿勢の岸田政権を牽制した形です。
■TBS「世論調査」
https://news.tbs.co.jp/newsi_sp/yoron/backnumber/20220305/q3-1.html
調査日 2022年3月5日,6日 定期調査
世論は「国防」重視に?
JNN(TBS報道)の行った3月の世論調査。核共有を議論する事について「核共有に向けて議論するべき」「核共有はするべきではないが議論はするべき」「核共有の議論はするべきではない」「答えない・わからない」で回答を求めました。
最多は「核共有はするべきではないが議論はするべき」の「60%」で残りの2つは18%で横並びでした。少なくとも「78%」の人は核共有の議論に前向きです。
ウクライナ侵攻のアジアへの懸念については次の通りです。非常に懸念しているは45%、ある程度懸念しているは41%、あまり懸念していないは9%、全く懸念していないは2%でした。日本政府の今後の対応について「欧米と歩調を合せて制裁を強化すべき」は69%に上ります。
核共有(ニュークリア・シェアリング)について!
核共有(ニュークリア・シェアリング)は「北大西洋条約機構(NATO)」の「核抑止政策」における概念でNATOによる核兵器使用の為に自国に核兵器を持たない加盟国で計画的に関与する事を指します。特に核兵器を使用する際に運搬に関与する事を定めています。
要約すれば「米国の核兵器を自国管理下に置く政策」です。参加国は核兵器政策に関する協議と共通の決定を行った上で、核兵器使用に必要な技術設備(核搭載航空機など)を維持、核兵器を自国の領土で管理します。一方で、戦争になった場合、NPTの規制を逸脱するリスクを孕んでいます。
安部晋三元首相の発言を受けて、広島県の被爆者らは「非常に危険」「あきれた」「被爆者で国会議事堂を取り囲んで『発言を取り消せ』と訴えたい」と猛反発の声を上げました。
広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長は「核も戦争もない日本を76年間守ってきたけれど政治が危険な方向に進んでいる気がする」「死んでも死にきれんで」と日本の先行きに不安を口にしています。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)はオンライン記者会見で「日本国民を核戦争に導き命を奪い国土を廃虚と化す危険な『提言』」「国民の命と暮らしを守る政治の実現に尽力する事を強く求める」と日本維新の会に発言の撤回を認める声明を出しました。
同会の田中熙巳代表委員は「核兵器についての知識、核兵器が使用された惨劇、非人道的な悪魔の兵器である事を知らない政治家集団ではないか」「憲法改悪を狙う維新政治の本質でもある」と指摘しています。尚、現時点で日本維新の会はこれに返答していません。
一方で、国連常任理事国であるロシアのウクライナ侵攻を受けて世論は大きく変化、日本政府に対して強い対応を求める声は確実に増えています。これまで以上に「国防」「外交」「経済」は争点になるので立憲野党は政策見直し必須です。単純に「反対」の一辺倒では議席を減らします。





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